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よもぎ 2020年3月号


ふだん見すごしているものの中に、「へ~そうだったんだ」というものが多々あります。道端に雑草みたいにはえているヨモギがお灸のときにつかう“もぐさ”になるというのを知ったときもそんな気持ちでした。今回のコラムでは、そのヨモギの話をいたします。ヨモギはとても強い植物です。アスファルトの裂け目から勢いよくのびています。雑草あつかいされるのも、強い生命力のためです。そのような強いエネルギーをそなえるヨモギはいろいろな用途で用いられています。食べて良し、くすりとしてのんで良し、加工してお灸に使って良しといったすぐれものです。みなさま、ぜひヨモギを身近にお感じになり、さまざまな場面でご利用なさってください。

春が苦手、という方はたくさんいらっしゃいます。春になると植物は土を破り芽をだします。木の芽立ち、とも言われます。からだの動きも自然に合わせてより活発になります。ところが、本来はそのようになるはずのからだですが、いろいろな原因でバランスがくずれていると季節に同調することができません。自然が求めるからだのリズムとのギャップに苦しみます。そこで体調や気分がそこなわれます。自律神経の失調などと言われますが、それほど深刻にお考えにならないでください。誰にとっても春の季節(三寒四温と言われます)と足並みをそろえるのはむずかしいものです。

春に体調をそこないやすい方は、ヨモギをふくむ食べものを召し上がってみてはいかがでしょうか。自然食品屋さんにヨモギをふくんだお餅があります。朝食などに便利なひと品です。もち米は胃腸を整え、元気をつけます。またヨモギは気の巡りをよくして胃腸の余分な水分をのぞき、そのはたらきを回復させます。ヨモギの香りも、鬱々した気を晴らすのを助けます。ヨモギ団子もおすすめです。ただし、こちらはトッピングのあんこの甘さを控えたものをお選びになり、食べすぎにはご注意ください。

 

生薬としてのヨモギには「艾葉(がいよう)」という名前がついており、漢方薬の成分としてもふくまれています。女性の下腹部の冷えや痛み、生理痛などのときに用いられる漢方薬のだいじな成分です。また月経のときに経血量が多すぎたり、不正性器出血などのときに出血を止めるはたらきもそなえます。このようにヨモギには下腹部を温め、痛みや出血を止めるはたらきがあります。民間療法にヨモギを煎じて下半身を蒸す、ヨモギ蒸しがありますが、まさにこの目的で用いられています。

また冷え症や生理痛、あせもなどを緩和する目的で入浴剤としても用いることができます。乾燥した葉っぱを50~100g布袋に入れて、ナベで少し煮つめてから、沸かしはじめの湯船に入れてください。乾燥した葉っぱは薬店で手に入ります。またケガをしたときにヨモギの葉をよくもんでその汁を傷口につけておくとすぐに治ると言われていますが、これはヨモギの止血のはたらきによります。

 

ヨモギなしにお灸は語れません。数多ある植物の中でお灸の神様が選んだ葉っぱはヨモギでした。その栄えあるヨモギを原料にして、“もぐさ(艾)”は作られています。もぐさというのは、お灸のときに皮膚の上で燃やす、ヨモギを乾燥させて葉っぱの裏の白い毛を集めたものです。ふわふわして手触りがよくいい匂いがします。簡単に作ることができますが、できあがるまでに時間がかかります。まず初夏にヨモギを採集しておいて、天日で乾燥させます。それを新聞紙にくるんで冬になるまで押し入れに入れておきます。冬の乾燥した日に葉っぱだけを選び、すり鉢ですって、かたいところやごみをふるいにかける作業を何度かくりかえします。そうするときれいなうす黄色のもぐさができあがります。以前に作ったことがあるのですが、かなりほこりが舞うので、マスクを着用しました。またコーヒーミル(コーヒーの豆を砕く機械)を使ってもできます。こちらのほうが便利で、おすすめできます。お灸のときに焼く葉っぱとして、点火しやすく、火力のおだやかなところが他種にくらべて秀でています。お灸は温熱の力でおとろえたからだの元気を回復させます。また神経痛などは冷えがからだの気血の流れを滞らせたときに起こることが多いのですが、それを温めてとかしてスムースにします。そのようにしてさまざまな痛みを取り除くことができます。

 

はじめに述べましたが、雑草のようなヨモギが、じつは食べて良し、のんで良し、お灸に使って良し、といったスーパー植物だったのです。アスファルトの裂け目から顔をだしているヨモギに少しだけ愛着を感じていただけましたか?ヨモギ団子にヨモギ餅、ときにヨモギの風呂などにつかり、気が向けばお灸(もぐさ)で治療するなどして、ヨモギと親しくお付き合いしてください。

 

元氣堂通信   コメント:0

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