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第53号~水分のとりかた(2017年5月)


初夏です。すごしやすい季節になりました。少しおもてを散歩するとかるく汗をかき、のどの渇きをおぼえる。そこでお水をぐっとのどに流し込む。「ふーっ」と大きく一息。とても気持ちのいい瞬間です。
いま飲んだ「お水」、わたしたちの体に必要なことは、本能としてわかっています。しかし、その理由となると、すぐには答えることができません。日本に住んでいるわたしたちにとって、身のまわりに水があることはあたりまえのこと。水道のコックさえひねればすぐに飲むことができます。しかし、ところ変わって砂漠地方に住む人たちにとって、水は金や石油よりも貴重なものです。なんの苦労もなく水を飲めたり、お風呂に入るなんてとてもぜいたくな話です。今いちど、たいせつな水に対して真摯に向き合って考えてみましょう。

わたしたちは「呼吸」という体に必要な活動を通じて、酸素を取り入れ、水と二酸化炭素をはき出しています。また運動すればもちろんのこと、じっとしていても汗として、また小便や大便として身体から水分を排出しています。したがって、水分を補わなければ、体がどんどん干からびるのは道理。生きてりゃ、のども渇き、水が飲みたくなる、というのはとても自然なことなのです。

さて、大ざっぱにみて、水、の役割は三つあります。
ひとつは、クールダウン。つまり水は冷やすためのもの。運動したあとや夏の熱気から体をひやします。そうして体温を一定にします。
もうひとつは、排泄。肝臓や肺、胃腸など、内臓がはたらくと体にとって必要のない“ゴミ”のようなものがでます。その“ゴミ”はおもに小便として排泄されます。しかし小便として出そうにも水がないとスムースにいきません。したがって、スムースな排泄のためにも水はたいせつです。
三つ目、体の中の水分の量を一定に保つ。つまり血液や消化液、細胞の中にふくまれる水分の量をだいたいいっしょにするため。たとえば体の水が足りなくなると、血液の中の水の量も少なくなります。すると血液の流れが悪くなったり、ゴミが溜まりやすくなり、血圧が高くなるなど命にかかわる血管系の病気の引き金になります。

これで水の必要性についてはご理解いただけたかと思います。水は体温を一定に保つ、尿や汗の排出をスムースにおこなう、体の中の水分の量を一定に保つために必要なものなのです。

最近は厚生労働省が推進する「健康のため水を飲もう運動」なるものがはやっています。「しっかり水分、元気な毎日」などの標語をつくって、水分補給をすすめています。なるほど、水の必要性は先ほどご説明しました。しかし、このような標語のためか、世の中には水をたくさん飲めば飲むほど健康に近づくと信じているかたも多くみかけます。ここに水のとり過ぎの弊害が生じています。
ぼくの治療院にも、水分をたくさん取っている方々がいます。かえってそのことにより、むくみ、頭痛、冷え、肩こり、尿がすっきり出ない、胃のむかつき、からだが重く朝すぐに起きられない、といった症状を訴えます。もちろん、すぐに水分の取り方をみなおしていただきます。そういう方々の舌には共通性があります。大きくて、ボテッとした感じで、舌の端に歯型がついていることです。また、脈をみると深く沈んでいて、なかなか拍動が伝わってきません。胃の中で水が動くチャポチャポとした音が聞こえたりもします。
体にとって大切な水も量がいきすぎてしまうとかえって“毒”になります。たとえば、子どもたちのように、しょっちゅうからだを動かしていると、汗をかき、たくさんの水分を欲します。その場合には、好きなだけ水を飲んでいただいてけっこうです。体の中を水がじゅうぶんにめぐるからです。またエネルギッシュな若者をみていると、ご飯を食べながら、水をゴクゴクと飲んでいます。そのことで胃酸は水で薄まりますが、じゅうぶんに食べものを消化します。それほど胃酸のはたらきが、すぐれているからです。ところが胃腸の悪い人やあまりからだを動かしてない人は、じゅうぶんに胃酸がはたらきません。食前や食後に水をたくさん飲んでしまうと、すぐに下痢や胃腸障害をおこします。ぼくの治療院では、このようなケースを“水毒(すいどく)”として治療します。このような方に対して、水分の代謝を調える鍼灸治療をおこなうと、胃腸のはたらきがよくなり症状が楽になります。また漢方薬では、茯苓、白朮、沢瀉などで胃腸のはたらきを調え、尿をすっきり排泄させます。
これから本格的に暑い夏が始まります。水分を取ることは決して欠かすことができません。しかしそれほど熱がりでない人やあまりからだを動かさない人が、“健康のために”のどの渇きを感じないまま、たくさんの水分を取ることが体にとってよくないことをおわかりいただけましたか。「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」とはまさにこのことです。つけくわえるなら、体に入れる水分はあまり冷たすぎてもいけません。せっかく飲んでもすぐに汗に変わってしまいます。また胃腸を冷やして、消化のはたらきが落ちます。常温のものを、のどの渇きを欲したときに、ゆっくりと口にふくむように飲みくだします。そのようにして体に入れる水分は、尿となり、からだの中の熱を外に出してくれます。夏には、温かい麦茶、スイカ、きゅうり、トマトなどで水分を補給しましょう。

 

 

元氣堂通信   コメント:0

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