痛み(頭痛・生理痛・五十肩・背痛・腰痛・坐骨神経痛・肘膝痛・腱鞘炎など)
慢性的に起こる頭痛について、西洋医学では筋緊張性頭痛、片頭痛、群発性頭痛などに分類しています。頭痛には生命に危機を及ぼす病態もあるので、たとえ慢性的なものであっても次第に痛みが増強したり、頻度が増す場合には専門医の受診をお勧めします。脳神経外科などで診察を受けたが器質的な変化が認められず、それでもなお起こる頭痛に対して鍼灸治療が有効なことがあります。水分代謝が悪い、血液循環が悪い、全身的な気力の低下、胃腸の虚弱、ストレス、冷え…東洋医学では原因に合わせた治療をおこないます。気象条件の変化により発生する頭痛もたいへん多くみられます。これらの頭痛に対して服用している西薬の量を軽減させたい、あるいは頭痛の程度や頻度を少しでも減らしたいといった方はぜひご相談ください。
生理痛にはその原因として考えられる病名が存在する場合とそうでない場合があります。子宮内膜症、子宮筋腫などの明確な病気がみとめられるときには、そのことを配慮しながら、体質に合わせた治療を行います。またはっきりとした原因・病名がわからないときには、冷え、食欲の異常、水分代謝の異常、骨盤内の血液循環などの原因として考えられるからだの不調を改善する必要があります。月経前緊張症(PMS)、更年期に起こる痛みでお困りの方、ご相談ください。
腕が上がらない。腕が後ろに回らない。肩の動きが制限される。何の気なしに肩を動かすとギクッとするような激しい痛みが起こる。夜、痛みですぐに目を覚ます。年齢とともに40代・50代になると、肩の関節の周りにある筋肉が付着するところに炎症や部分的な断裂がみられるようになります。肩峰下滑液包、上腕二頭筋長頭腱などの炎症も同様な症状をもたらせます。このようなときには、はり、灸で肩の関節周囲の血液循環を改善させると肩の関節内の組織の炎症や癒着を緩和させ、痛みをやわらげます。
腰痛はほとんどの人が体験します。慢性的なものは、古傷、老化現象、疲労などを原因とします。また急激な気象の変化、季節の変わり目、冷えなどによっても症状が現れます。東洋医学的には、腎気を調える、瘀血を取り除く、からだを温める、気の滞りを改善するといった方針による鍼灸治療が有効です。対症的なものではなく、根本的な治癒を目指します。また急性腰痛(ぎっくり腰)にも対応することができます。
坐骨神経は人体にとって最大最長の末梢神経です。通過する範囲が広いため、この神経が刺激されると、臀部、太もものうしろ、ふくらはぎからかかとやくるぶしまで痛みが響くことがあります。立つ座る、姿勢を変える、からだを曲げるなどのからだの動きにより痛みが強くなります。また痛みのほかにもしびれ、知覚のにぶさ、腱反射の異常、歩行障害などがみられます。治療に際しては、坐骨神経上のつぼ(押して痛みを発するところ、押して気持ちがいいところ)に鍼やお灸を行うことで、症状の緩和を目指します。
膝関節は太ももの骨である大腿骨、脛(けい)骨と腓(ひ)骨、膝蓋骨(膝のお皿)の4つの骨からできており、骨どうしは靭帯(じんたい)、半月板などの組織によって安定性が得られています。靭帯は内側側副靭帯、外側側副靭帯、前十字靭帯、後十字靭帯の4本があり、膝がずれないようにする役目をしています。また半月板は内側と外側に1つずつありクッションの役目をしています。このように膝関節は4つの骨、4本の靭帯、2枚の半月板から組成されるとても複雑な構造となっています。
股関節や足関節は-方の骨がくぼみ、他方の骨がその中にしっかりはまって安定した構造になっています。これに対して膝関節は平らな骨どうしが向かい合い、すねの骨の表面を腿の骨が滑るように動くという特殊な構造になっています。このような不安定な構造が、膝にさまざまなトラブルを起こす原因となっています。動きはじめ、とくに正座や椅子から立ち上がるとき、歩き出すときに痛みがおこる変形性膝関節炎に鍼灸治療が効果的です。
肋間神経痛は帯状疱疹や変形性脊椎症を原因として発症します。背骨から肋骨に沿うように激しく痛みます。深呼吸、せき、大声などで痛みが誘発され、肋骨に沿った部位や腹部の筋肉の上に指で押すと痛みの起こるポイントが存在します。そのような部位が治療点ともなります。鍼灸治療は、あまり症状が著しいときではなく、ややおさまったころから始めます。
腱鞘炎
腱(けん)は筋肉と骨をつなぐ丈夫な組織です。その腱の外側をくるんでいるのが腱鞘です。その腱鞘におこる炎症を腱鞘炎といいます。その要因として頻度が高いのは、腱鞘の中が狭くなり、腱のすべりが悪く、摩擦を生じるものです。女性に多く、とくに閉経期前後によくみられ、手の使い過ぎが加わると持病に変わります。治療は、その痛みの強く出るところを中心に施術を試みますが、多くは全身的な治療をおこなうことで治癒に至ります。身体の部分は、全体の一部にすぎませんが、ときに内面を映しだす鏡でもあります。腱鞘炎は、老化、疲労により腱の潤いが損なわれたことが根本にあります。実際の治療では、そのようなところに配慮が必要です。