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第50号~輭酥(なんそ)の法(2017年2月)


 

江戸時代に白隠(はくいん)というお坊さまがいらっしゃいました。静岡県は沼津市の原で生まれ、その当時は落ちぶれていた臨済宗を復興するなどたいそう立派な方でした。
「駿河には過ぎたるものが二つあり、富士のお山に原の白隠」などと富士山と並び称されていました。
今回のコラムでは、そんな白隠さまが世に広めた健康法についてご紹介してまいります。その名を「輭酥(なんそ)の法」といいます。禅を行うと同じ姿勢でじっとしているため、いわゆる「禅病」にかかる人が出てきます。頭がのぼせる、手足や腰が凍りつくように冷える、耳鳴り、消化不良、精神疲労などのことです。今回ご紹介する健康法は、このような病の治療にたいへんな効果を発揮しました。輭酥(なんそ)というのは、牛乳が凝固したもの、その軟らかく澄んだ上澄み液のことです。バターとかチーズのようなものと思ってください。

健康法と言っても身体を動かすわけではありません。じっと座って、想像、イメージで進行します。しっかり集中することができれば、すばらしい健康法となります。その本体が何であれ、病気が治るという身体のメカニズムには、こころという観念的な世界が結びついているからです。「信じ」、そして「続ける」ことで身体は変化します。最初は5分、10分くらいからはじめます。慣れていくにしたがい、徐々に時間をのばして30分くらいかけます。

まずは輭酥(なんそ)、このバターのようなものを大きめの卵くらいに丸く固めたものをイメージしてください。とてもいい香りがします。それを頭の上に乗っけたところから、想像力をつかった健康法は始まります。心の動きにもとづいて、バターのようなものを体温によってしだいにとかし、頭から身体の至るところに浸透させ、流れ落ちるように観念することにより、内臓の痛み、しこり、違和感などを下降させます。バターのようなものは決して速く流れません。ゆっくり浸透します。身体をまんべんなくめぐり流れ、両脚を温かに潤して足の裏の土ふまずにいたって止まります。これがすべて、心の動き、想像によりとり行われます。身体はじっとしたままです。

「輭酥の法」
背骨をまっすぐにして、椅子に腰かけて目をつむり心を落ち着かせます。
呼吸はゆったりと、腹式呼吸で、吐く息を長めにします。
頭のちょうどてっぺんに卵のような形をしたものがのっかっています。
わりとずっしりとして重量感があります。
中身は、とろとろのバターのようにねっとりしてとてもいい香りがします。
それがあなたの体温で徐々に温まり、とけて流れ出します。
ゆっくりと頭全体を潤して、しんしんと下っていきます。
両肩、両腕、両乳、胸の間、さらに内臓の肺、肝臓、食道、胃腸、背骨、尾骨までも包みこむように潤します。
この際、身体の中に痛むところ、違和感のあるところ、しこりのあるところ、気になっているところなどがある方は、そこを何べんもねっとりとしたいい香りのものが潤しているようにイメージします。
やがてそれは骨盤の中の臓器、生殖器、足をゆっくり下り、足の裏へとたどり着きます。手足は温かく、身体も台風一過の青空のようにすっきりしています。

白隠さまにこの健康法をさずけたのが白幽仙人です。そのあと「わたしは今あなたに一生用いても用いきれぬ秘伝についてお話した。これ以上もはやお教えすることはない」と語ったそうです。仙人がそう語ったのです。この事実はとても重大です。この瞑想法は体力がない虚弱な方に大きな効果をもたらします。白隠さまは、この健康法でご自身の肺病を克服しました。『遠羅天(おらて)釜(がま)』『夜船(やせん)閑話(かんな)』などの禅宗の理論で書いた多くの著作を残しています。

 

元氣堂通信   コメント:0

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