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第51号 花粉症って何?(2017年3月)


3月に入ると花粉症の話題がいやでも耳に入ってきます。季節が変わり、気温が高くなると、花粉はパートナーを求め、空をただよって飛んでいきます。空気中にただよっている以上、それをまったく防ぎきることはできません。しかし花粉を吸いこんでも花粉症になる人とならない人がいます。いったいどうしてでしょう。花粉症になりやすい人の免疫のはたらき、および現代医学と漢方との治療法の違いについてお話しいたします。

 

人にはからだに異物が侵入したときに追い払うシステムがそなわっています。それを広い意味で“免疫”といいます。もちろん花粉は異物です。花粉のような異物がからだに入ると、免疫のはたらきにより、それに対する武器のようなものがつくられます。それを“抗体”と呼びます。そしてつぎに入ってきた花粉とひっつき、戦います。それがからだに都合よくはたらくとき、狭い意味で“免疫”といいます。ところがからだに都合が悪く、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状をともなうとき、アレルギー=花粉症といいます。つまりアレルギーも広い意味の免疫に含まれます。人が花粉症になるのは、ある意味自然の成り行き、免疫のはたらきが行き過ぎてしまった結果といえるのです。

 

花粉症のときに、からだの鼻や目の粘膜では何が起こっているのでしょうか。花粉症は行き過ぎた免疫といいました。しかし花粉に侵入されたらすぐに症状が現れるわけではありません。準備段階があります。まず鼻や目の粘膜に花粉がひっつくと、その成分がからだの粘液に溶けだします。その溶けたものが、マクロファージという免疫細胞にとりこまれてはじめて異物と認められます。ここから免疫が作動をはじめます。この情報が、やはり免疫システムのひとつであるリンパ球に伝えられて、異物に対抗する抗体がつくりだされます。これが「Ige(アイジーイー)抗体」と呼ばれるものです。この抗体が、鼻や目の細胞につぎからつぎへ結びつきます。その抗体の量がある一定の域を越えたとき、免疫反応の準備が調います。この状況に花粉が入りこんでくると、花粉とIge抗体との戦いが始まります。その過程で細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質がつぎつぎにはきだされます。それが鼻や目の神経を刺激したり、血管の壁の水分の出入りを多くします。そのためにくしゃみ、鼻水、鼻や目のむずがゆさ、鼻の粘膜のむくみによる鼻づまりなどの症状を引き起こします。

 

花粉症になる人とならない人の差、花粉症になる人というのは、Ige抗体をつくり過ぎてしまい、ヒスタミンに対して過敏に反応するようです。花粉症にならない人は、適度な量のIge抗体をつくり、ヒスタミンに対してあまり過敏に反応しません。両者にはこのように異物に対する反応に大きな違いがあります。なお、現代医学では花粉症に対して、ヒスタミンなどの化学伝達物質の放出を阻止する抗アレルギー剤とヒスタミンのはたらきを抑える抗ヒスタミン剤が用いられます。いずれの薬も眠気、だるさ、胃腸障害などの副作用をともないます。またステロイド剤のような強力な炎症を鎮める薬により、さまざまな症状に悩まされる場合もあるようです。

 

さて漢方では花粉症を、くしゃみ、鼻水や目ヤニなどの排泄物の状態と、それにともなう全身の症状から判断します。たとえば鼻水が透明でさらさらしており、冷たい空気に触れるとくしゃみや咳が出やすい、いつも手足が冷たく、寒がりで厚着をしているようなとき、“寒証(かんしょう)”と呼び、からだを温める薬をお出しします。また黄色い鼻水、粘る目ヤニ、鼻・目・耳などのかゆみが強い、目が赤く充血している、手足がほてり、暑がりのとき、“熱証(ねつしょう)”と呼び、からだの熱を冷ます薬をお出しします。あるいは疲れ、だるさ、倦怠感などが著しく、気力が失せているようなとき、“気虚証(ききょしょう)”と呼び、気力の低下を補う薬をお出しします。つまり、花粉症に対して一律ではなく、それぞれの方の体質に合ったものをお出ししています。もちろんこれらのタイプがいくつか重なることもあります。そのときには、それに合わせてふさわしい薬をお出しします。

すでにお気づきかもしれませんが、漢方ではアレルギー、ヒスタミンといった現代医学の考え方は用いません。「からだのかたよりをなくすこと」を最大の治療目標とします。具体的には、冷え症であればからだを温め、暑がりの方はその熱を冷まし、気力が不足していればそれを補うお薬をお出しして症状を改善させます。花粉症に関しては、症状を押さえこむのではなく、アレルギー反応を弱めて、からだに都合よくはたらく免疫を作動させます。対症療法ではなく体質改善を目指します。抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤で、どうしても眠気が強く出て困っている方が多いようですが、漢方薬ではそのような心配はありません。いろいろな薬をためして効果がないような方にもおためしになっていただく価値は十分にあります。

 

元氣堂通信   コメント:0

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