変形性頸椎症
右腕のしびれに悩む○さん(女性・45歳)の場合
MRI検査により病院で変形性頚椎症と診断されました。
そこで消炎鎮痛剤・筋弛緩剤などの投薬から始まり、
首や肩への温熱療法が行われましたが治療効果はなかなかあがらず3ヶ月後に来院されました。
当院での治療は以下のような問診から始まります。
「いつからしびれていますか」
「半年ほど前からです」
「どの部分がしびれていますか」
「肩から肘にかけての外側の筋肉がしびれています」
「しびれの強い時間帯はありますか」
「しびれの強さは一日中変わりありません」
「症状はどんなとき軽減しますか」
「仕事に集中しているときはつらく感じません」
「そのほか気になる症状はありますか」
「首がひどく凝っています」
そのあと脈をとり、舌をみます。
脈は細く、ギターの弦をはじくような感触でした。舌はやや小さく痩せていました。
東洋医学では身体は三つの要素、気・血・津液から構成されているとしています。
そしてこれらの要素が不足することなく、滞ることなく身体を循環している状態を健康体と考えます。
Oさんの場合、
職場のストレスにより身体を構成する三要素のうちの一つ、
血を消耗すると同時に右腕の気が滞っている病態とみました。
漢方的には肝気鬱・肝血虚証からおこる 右腕のしびれと判断しました。
実際には足やお腹、肩甲骨まわりや後頭部 もちろん右腕 のツポにも鍼灸治療しました。
Oさんには週2回の治療を2ケ月続けていただきまして、ほとんどしびれを感じない状態になったことを確認して治療を終えました。
変形性頚椎症
首の骨、すなわち頚椎は7個の脊椎から成り立っており、それぞれは前方にある椎間板と後方にある椎間関節で連結されています。
椎間板は円板状のゴム製マットのようなもので、上下の椎体と強い接着剤でくっついているイメージしてみてください。
このゴム製のマットの弾力性は年齢とともに失われ、とくに20歳を過ぎると減少してきます。
これは日常的に繰り返される首の運動によって椎間板が痛むからです。
しだいに接着力も弱くなり、脊椎の連結部がぐらぐらしてきます。
このぐらつきを止めようとして椎間板の周囲に骨棘ができ、これがときには脊椎をつないでしまい、その部分が動かなくなることもあります。
このような頸椎の変化は年齢とともに強くなっていき、高齢になるとほとんどすべての人にみられますが、大部分の人は症状を訴えません。
症状を訴える人は首の後ろの痛みや重だるさ、首の疲れ、肩こりなどを強調します。
これらの症状は椎間板や椎間関節の変形と、周辺の靭帯や筋肉の緊張が乱れることで起ります。
神経に庄迫が加わると、指先の感覚が鈍くなったり腕の力が弱くなったりします。