肩の痛み
80代 女性
4月中旬に肺炎予防の注射を左肩に打った。そのときに、強く痛みを感じたが、当日は生活に支障はなかった。しかしその翌日から左の腕が上に上がらなくなる。左手をつくだけで痛みが走り、朝、起き上がるまでに30分をついやす。腕は上に上がらず、後ろに回すこともできない。日常の動作が不便で、着替えすることもままならない。注射を打った日から数えて一週間目に来院された。
左腕の受傷。左の肩周辺の経気の疏通を目標に治療を行う。仰向け、座位、うつぶせの姿勢で、ポイントとなるところへ、針と灸の施術をする。3回目の治療までは不変。それ以降に徐々に回復する。3週間の間に5回目の治療を行い9割の回復をみせる。日常での動作に違和感がなくなり、ゆっくりでも腕を上げることができたり、回すことができるようになったところで治療を終えた。
頸から肩、背中にかけての違和感
症例) 50代 男性
来院の一週間前に車を運転していたところ、大渋滞に巻き込まれること7時間。疲労をかかえたまま一晩眠る。翌朝目を覚ますと左の頸と肩にかけて肩甲骨の一点を中心として違和感がある。するどい痛みはない。腕にはしびれも感じる。長時間の運転をする以前から疲れがたまっており、肩や腰にコリを感じていた。それ以来、自然に治るのを待っていたが、徐々につらくなってきたので来院された。整形外科では診察を受けていない。
もともと疲れがたまっており、肩や腰にコリを感じていたところ、長時間同じ姿勢を保つことにより発症。治療は圧痛点の膏肓、天宗、肩貞、臑兪などのツボに灸と鍼をして、その部位の循環をよくすることを目標とした。肩甲骨の付近を温めたり、お風呂に入ると、少し症状が楽になるということなので、とくに灸を多用した。初診の治療で症状が半減。かなり楽になり、しびれがなくなったとおっしゃる。さらに続けて2回の治療を行うと、はじめに在った症状の8割が改善された。ほんのわずかなコリを感じる程度である。この方は体質的に血液循環や水分の代謝が悪いうえに、疲労もたまっており、自分でからだを治癒するはたらきが低下していた。したがって、このように病状が長引いたのだが、鍼灸には、患部に停滞する病邪を流し、正気を回復するはたらきがあるので、症状の改善がみられた。
五十肩3
50代 女性
3週間前からくびから腕にかけて痛むようになった。痛み始めてから一週間ほど経ったころ、一度痛みが治まりかけたが、再び痛むようになった。きっかけは思い当たらないが、乗り物の運転手をしているため、ハンドルを手にする同一姿勢を長時間続けているためではないか、というふうにおっしゃる。プールで泳いだり、そのあとに入浴すると症状が楽になるが、睡眠してのち、起床時には悪化している。整形外科でX線の検査を受けており、異常は見つからなかった。
この方は、痛みがとても強かったので、初診では鍼治療のみ行った。同じ姿勢を長い時間続けていると、その組織器官の血流がスムーズにいかずにコリや痛みの原因となりやすい。適度に運動することで、症状が緩解するはずであるが、強い痛みがそれを阻んでいる。それと同時にストレス、加齢なども症状の悪化をうながしていた。鍼治療でまずは強い痛みを緩和して、痛いから動かさないでさらに症状が悪化するという生活の中で繰り返される悪循環を断つきっかけとする。その後、回復の程度にしたがって、徐々にお灸、マッサージを加えて治療を行った。強い痛みは1週間で取れ、その後2週間かけてさらに症状が緩解していった。ひと月ほどの期間で、はじめの強い痛みが7~8割改善したところで、治療を終えた。
五十肩2
50代 女性
五十肩の期間、8か月。手を後ろに回す動作をすることで激しい痛みを感じる。そのほかの普段の生活には支障なし。もともと寒がりで温めると楽になる。肩こり体質。疲れ、ストレスなどで肩が凝ってくると、それが間接的に痛みを起こす要因となり、痛みを強く感じたり、ちょっとした動きですぐに痛みを感じるようになる。X線では腱板に石灰の沈着は見られなかった。
この方は、寒がりで、からだの線が細く、筋肉の量が少ない。治療はお灸を中心として、適宜細い鍼で、患部の滞った経気を疏通することとした。全体的には、刺激量を少なめにすることを心がけた。治療を始めて1週間で症状が半減。さらに順調に回復をみせて、約2週間、計4回の治療で、症状が8割改善したところで治療を終えた。この方の場合、鍼灸治療とともにマッサージを行ったことが、治癒を早めた大きな要因と思われる。治療後はいつも肩周囲の筋肉がほぐれ気分もよいとおっしゃっていた。鍼灸とマッサージを組み合わせることは、ときに大きな効果をもたらす。それと同時に鍼灸治療にマッサージを加えることによって悪化する五十肩もある。その多くは、急性期、熱をもっている場合であるが、その鑑別には注意を要する。
五十肩
五十肩
頸から肩、背中にかけての違和感
症例) 50代 男性
来院の一週間前に車を運転していたところ、大渋滞に巻き込まれること7時間。疲労をかかえたまま一晩眠る。翌朝目を覚ますと左の頸と肩にかけて肩甲骨の一点を中心として違和感がある。するどい痛みはない。腕にはしびれも感じる。長時間の運転をする以前から疲れがたまっており、肩や腰にコリを感じていた。それ以来、自然に治るのを待っていたが、徐々につらくなってきたので来院された。整形外科では診察を受けていない。
もともと疲れがたまっており、肩や腰にコリを感じていたところ、長時間同じ姿勢を保つことにより発症。治療は圧痛点の膏肓、天宗、肩貞、臑兪などのツボに灸と鍼をして、その部位の循環をよくすることを目標とした。肩甲骨の付近を温めたり、お風呂に入ると、少し症状が楽になるということなので、とくに灸を多用した。初診の治療で症状が半減。かなり楽になり、しびれがなくなったとおっしゃる。さらに続けて2回の治療を行うと、はじめに在った症状の8割が改善された。ほんのわずかなコリを感じる程度である。この方は体質的に血液循環や水分の代謝が悪いうえに、疲労もたまっており、自分でからだを治癒するはたらきが低下していた。したがって、このように病状が長引いたのだが、鍼灸には、患部に停滞する病邪を流し、正気を回復するはたらきがあるので、症状の改善がみられた。
頸から肩、背中にかけての痛み
症例) 50代 女性
2~3日前から右の頸から肩、背中にかけて、痛くてズキズキする。居ても立っても居られない。ときどき右腕に痛みが走る。整形外科を受診するが、X線およびMRI(磁気共鳴画像診断装置)による検査結果に異常はみられない。痛み止めとビタミン剤を処方されて服用するが、まったく効果が現われない。もともと肩こりが強いが、今回の痛みはそれと違う感じがする。ひねった、ぶつけたなどの外傷はない。内科的には特別気になるところはない。
比較的に急な症状で、痛みの程度も強い。背中に触れるとやや熱をもっている。浅い鍼、単刺で、経気を疏通する。このような急性期の痛みに対してお灸、マッサージなどを行うと、かえって症状が悪化することがあるので、鍼だけの治療とする。初診では、大きな変化はみられない。続けて2診を行うが、1割程度の回復で、まだほとんど痛みが改善されない。3診目にしてようやくはっきりとした変化が現われ、痛みが半減する。その後に2回の治療を行い、治療を始めて2週間で、居ても立っても居られない痛みは消失する。痛みには、まだ名残のようなものがあるが、肩こりも改善して日常の動作に問題がないということなのでいったん治療を終えることにした。その後に病状をお伺いする機会があったが、症状の再発はみられない。
五十肩
症例) 50代 女性
3週間前からくびから腕にかけて痛むようになった。痛み始めてから一週間ほど経ったころ、一度痛みが治まりかけたが、再び痛むようになった。きっかけは思い当たらないが、乗り物の運転手をしているため、ハンドルを手にする同一姿勢を長時間続けているためではないか、というふうにおっしゃる。プールで泳いだり、そのあとに入浴すると症状が楽になるが、睡眠してのち、起床時には悪化している。整形外科でX線の検査を受けており、異常は見つからなかった。
この方は、痛みがとても強かったので、初診では鍼治療のみ行った。同じ姿勢を長い時間続けていると、その組織器官の血流がスムーズにいかずにコリや痛みの原因となりやすい。適度に運動することで、症状が緩解するはずであるが、強い痛みがそれを阻んでいる。それと同時にストレス、加齢なども症状の悪化をうながしていた。鍼治療でまずは強い痛みを緩和して、痛いから動かさないでさらに症状が悪化するという生活の中で繰り返される悪循環を断つきっかけとする。その後、回復の程度にしたがって、徐々にお灸、マッサージを加えて治療を行った。強い痛みは1週間で取れ、その後2週間かけてさらに症状が緩解していった。ひと月ほどの期間で、はじめの強い痛みが7~8割改善したところで、治療を終えた。
五十肩
症例) 50代 女性
五十肩の期間、8か月。手を後ろに回す動作をすることで激しい痛みを感じる。そのほかの普段の生活には支障なし。もともと寒がりで温めると楽になる。肩こり体質。疲れ、ストレスなどで肩が凝ってくると、それが間接的に痛みを起こす要因となり、痛みを強く感じたり、ちょっとした動きですぐに痛みを感じるようになる。X線では腱板に石灰の沈着は見られなかった。
この方は、寒がりで、からだの線が細く、筋肉の量が少ない。治療はお灸を中心として、適宜細い鍼で、患部の滞った経気を疏通することとした。全体的には、刺激量を少なめにすることを心がけた。治療を始めて1週間で症状が半減。さらに順調に回復をみせて、約2週間、計4回の治療で、症状が8割改善したところで治療を終えた。この方の場合、鍼灸治療とともにマッサージを行ったことが、治癒を早めた大きな要因と思われる。治療後はいつも肩周囲の筋肉がほぐれ気分もよいとおっしゃっていた。鍼灸とマッサージを組み合わせることは、ときに大きな効果をもたらす。それと同時に鍼灸治療にマッサージを加えることによって悪化する五十肩もある。その多くは、急性期、熱をもっている場合であるが、その鑑別には注意を要する。
[主訴] | 五十肩 |
[初診] | 平成19年6月 50代 男性 |
[現病歴] | 急性病からの回復期に、体力の低下を懸念してジムで腕をきたえるトレーニングを行った。しばらくして、右腕で電車のつり革にぶらさがる動作やズボンのうしろのポケットから財布を取り出す動作で強い痛みを感じるようになる。さらに右腕を下にして眠ることができなくなり、痛みで夜中に何度も目を覚ます状態となったので来院した。来院当初は腕を水平に上げることができず、途中でロックされるかなりつらい状態であった。 |
[診断] | 気血両虚~気滞血瘀 |
[治療方針] | 週に一度の鍼灸治療と運動療法により、肩の関節の痛みを取りのぞきながら可動域を広げていく。さらに自宅で灸をすえるツボを指導して、からだ全体の体力と免疫力の向上を目指す。 |
[経過] | 6月初旬の治療開始から、週に一度の治療を継続することで、夜中に激痛で何度も目を覚ます状態からは徐々に快方に向かう。腕の上がる角度も少しずつ広がり、夜中に痛みで目を覚ますようなこともなくなった。状態も80%回復しており、現在は2週に一度の治療で様子を見ながら完治を目指している。 |