後頭部の重み
30代 女性
3週間前に階段を下りているときにすべり、右腰を強打した。その翌日から、右の半身にしびれが生じた。症状は手足におよび、2週間続いた。そのしびれが治ってからは、後頭部に重みが出てきた。重みは1週間続いている。押さえつけられるようで、ズーンとしている。整形外科で検査を受けたが、目立った所見はみられなかった。そのつらさに耐えられず、来院された。
後頭部のとくに右側を中心にこりができていた。階段をすべったときに後頭部に負担がかかり生じたものと判断した。なお、この方はふだんから肩こり、目の疲れがあり、それらの症状は慢性化しているとおっしゃっている。
治療は、手足の要穴、後頭部、頸部、肩甲骨の周りの反応のあるところ、腰部を中心に行った。一回目の治療の後、2~3日は変化がなかったが、その後徐々に回復して、症状の4割が改善した。一週間後に2回目の治療を行い、同様に治療すると、その翌日、かなり後頭部が重くなり、一日中つらかった、とおっしゃる。しかし、その翌日からうそのように軽くなり、9割の症状が改善した。3回目の治療をその一週間後に行ったところ、初診時にできていた後頭部のこりはほぼ消失していた。この治療の後、もし悪化するようなことがあればまた来ていただくこととして、治療を終えた。その後、症状の悪化はない、との連絡をいただいている。
頸から肩、背中にかけての痛み
50代 女性
2~3日前から右の頸から肩、背中にかけて、痛くてズキズキする。居ても立っても居られない。ときどき右腕に痛みが走る。整形外科を受診するが、X線およびMRI(磁気共鳴画像診断装置)による検査結果に異常はみられない。痛み止めとビタミン剤を処方されて服用するが、まったく効果が現われない。もともと肩こりが強いが、今回の痛みはそれと違う感じがする。ひねった、ぶつけたなどの外傷はない。内科的には特別気になるところはない。
比較的に急な症状で、痛みの程度も強い。背中に触れるとやや熱をもっている。浅い鍼、単刺で、経気を疏通する。このような急性期の痛みに対してお灸、マッサージなどを行うと、かえって症状が悪化することがあるので、鍼だけの治療とする。初診では、大きな変化はみられない。続けて2診を行うが、1割程度の回復で、まだほとんど痛みが改善されない。3診目にしてようやくはっきりとした変化が現われ、痛みが半減する。その後に2回の治療を行い、治療を始めて2週間で、居ても立っても居られない痛みは消失する。痛みには、まだ名残のようなものがあるが、肩こりも改善して日常の動作に問題がないということなのでいったん治療を終えることにした。その後に症状をお伺いする機会があったが、再発はしていない。
肘・腕の痛み
肘・腕の痛み
頸から肩、背中にかけての痛み
症例) 50代 女性
2~3日前から右の頸から肩、背中にかけて、痛くてズキズキする。居ても立っても居られない。ときどき右腕に痛みが走る。整形外科を受診するが、X線およびMRI(磁気共鳴画像診断装置)による検査結果に異常はみられない。痛み止めとビタミン剤を処方されて服用するが、まったく効果が現われない。もともと肩こりが強いが、今回の痛みはそれと違う感じがする。ひねった、ぶつけたなどの外傷はない。内科的には特別気になるところはない。
比較的に急な症状で、痛みの程度も強い。背中に触れるとやや熱をもっている。浅い鍼、単刺で、経気を疏通する。このような急性期の痛みに対してお灸、マッサージなどを行うと、かえって症状が悪化することがあるので、鍼だけの治療とする。初診では、大きな変化はみられない。続けて2診を行うが、1割程度の回復で、まだほとんど痛みが改善されない。3診目にしてようやくはっきりとした変化が現われ、痛みが半減する。その後に2回の治療を行い、治療を始めて2週間で、居ても立っても居られない痛みは消失する。痛みには、まだ名残のようなものがあるが、肩こりも改善して日常の動作に問題がないということなのでいったん治療を終えることにした。その後に病状をお伺いする機会があったが、症状の再発はみられない。
頸から肩、背中にかけての違和感
症例) 50代 男性
来院の一週間前に車を運転していたところ、大渋滞に巻き込まれること7時間。疲労をかかえたまま一晩眠る。翌朝目を覚ますと左の頸と肩にかけて肩甲骨の一点を中心として違和感がある。するどい痛みはない。腕にはしびれも感じる。長時間の運転をする以前から疲れがたまっており、肩や腰にコリを感じていた。それ以来、自然に治るのを待っていたが、徐々につらくなってきたので来院された。整形外科では診察を受けていない。
もともと疲れがたまっており、肩や腰にコリを感じていたところ、長時間同じ姿勢を保つことにより発症。治療は圧痛点の膏肓、天宗、肩貞、臑兪などのツボに灸と鍼をして、その部位の循環をよくすることを目標とした。肩甲骨の付近を温めたり、お風呂に入ると、少し症状が楽になるということなので、とくに灸を多用した。初診の治療で症状が半減。かなり楽になり、しびれがなくなったとおっしゃる。さらに続けて2回の治療を行うと、はじめに在った症状の8割が改善された。ほんのわずかなコリを感じる程度である。この方は体質的に血液循環や水分の代謝が悪いうえに、疲労もたまっており、自分でからだを治癒するはたらきが低下していた。したがって、このように病状が長引いたのだが、鍼灸には、患部に停滞する病邪を流し、正気を回復するはたらきがあるので、症状の改善がみられた。
[主訴] | 肘・腕の痛み |
[初診] | 平成19年3月中旬 40代 男性 |
[現病歴] | 3ヶ月くらい前から両手の肘や腕が痛む。力仕事をしているため、疲労がたまり最近はマッサージをしてもらわないと腕がだるくて眠ることができない。またくびや肩にもコリ感があり、頭が重い感じもする。20年ほど前にも同じような症状になるが、はり治療で良くなったので今回もそれを期待して来院した。 |
[診断] | 気虚気滞 |
[治療方針] | 疲労により低下した気力を補い、両腕を中心に全身の血液循環をよくする。 |
[経過] | 患者はかなり疲労しており、ポイントとなるツボを軽く押さえるだけでもひどく痛がっていた。そこで気力を回復させるために、手や足にある疲労を回復するツボにはりを入れその上から遠火でもぐさを燃焼させてほんのりと温めた。そのあと腕の血液循環を良くするために肘のまわりを中心に指圧をすると、一回の治療で腕の痛みやだるさがほとんどなくなった。 |
[主訴] | 左肩から指先にかけての重いしびれ感 |
[初診] | 平成19年1月末 50代 女性 |
[現病歴] | 初発は2年前。整形外科の牽引治療などで、一旦、症状は治まる。しかし再び、一週間ほど前に、左の肩から指先にかけて、ズシッとしたしびれが生ずる。整形外科を再度受診して、レントゲンで確認すると、2年前よりも頸椎の変形が悪化していることがわかった。加齢、過労により、頸椎の椎間板が磨耗して神経を圧迫していることで、症状がでている、と診断された。針灸治療の経験は、ほとんどないが、友人のすすめで来院する。 |
[診断] | 腎陰虚 気滞 |
[治療方針] | 1. 腎陰を補うことで、ホルモンのバランスを安定させ、老化を防ぎ、これ以上頸椎が変形するのをくい止める。 2. 全身の気のめぐりを良くして、血液循環を改善する。 |
[経過] | 治療の回数に比例して、しびれは減少した。治療は週に3、4回おこない、ほぼひと月の治療で、残存するしびれ感が2%にまで回復したので略治とする。治療のポイントは、腕や頚部に集中させたが、足など全身のツボを用いた。また鍼治療だけでなく、灸やマッサージによる治療も積極的におこなった。 |