脊柱管狭窄症・歩行困難
70代 女性
歩くときに足が痛く、200mほど歩くと休まずにはいられない。痛む場所は右足で、とくに膝から下の側面やふくらはぎに症状が強い。座っている姿勢から立ち上がるときにも痛みを発する。医師の診断を受けると、MRI検査では脊柱管の狭窄がみられたが、すぐに外科的な処置を要するものではないとのこと。
このところ足腰が衰えたような気がしており、数か月の間に三回転んだ、とおっしゃる。
また、この症状が現れるまでは、腰が痛い、と思ったことはなかったが、最近は重く痛い気がする。
血圧が高く、降圧剤、コレステロール降下剤、睡眠導入剤を服用している。
週に一度の治療を始めたところ、徐々に痛みを発するまでの歩行の距離が伸びていく。
一か月ほどすると、痛みを感じることなく、15分ほどで約一キロメートルは歩けるようになる。
痛みの症状は、一進一退をくりかえすが、治療を始めて3か月になると、突如痛みがなくなる。
ご本人は半信半疑で、また痛くなると困るので、さらに2週間の治療を継続して行ったが、症状が現れないので、治療を終えることにした。
このように脊柱管の狭窄があっても、痛みが改善したり、消失する場合はある。
脊柱管狭窄による坐骨神経痛
60代 男性
ひと月以上前から右の太ももが痛かったが、ある日、突然に激痛が走った。近所の整形外科で、X線およびMRI(磁気共鳴画像診断装置)による検査を受診したところ、脊柱管狭窄による坐骨神経痛と診断された。右足の太ももの表と裏が最も気になる部位であるが、腰や臀部にも押すと痛むところがある。歩いていると急に激痛が走るので、それが怖い。じっと横になって安静にしていたり、お風呂に入ると楽、とおっしゃる。この痛みと関わるような内科的な疾患はみられない。
この方の脊柱管の狭窄の状態は、それほど著しいものではなく、外科的な処置を要するものではない。たとえ脊柱管に狭窄の症状があっても、それほど重度でなければ、そのまわりをサポートする質・量ともに良好な筋肉や靭帯があればよい。腰部の筋肉をはじめとする組織が充分に機能していないときに、脊柱管の狭窄の症状が現れ、今回のように足に激痛が走ったり、しびれを生ずることになる。この方は、お灸による治療を、たいへん心地が良いとおっしゃっていた。鍼灸の治療における、お灸の配分を高めて治療を組み立てた。一週間のうちに3回の治療を行うと、前屈運動ができるまでかなりの症状改善がみられた。さらに二回の治療を行うと、右の太ももが痛かったところ、腰や臀部の押すと痛むところがすっかりおさまった。治療は2週間、5回であったが、患部の周りの筋肉が正常に機能するようになったと判断した。脊柱管の狭窄はあっても、周りの筋肉を良い状態に保つことができれば、症状が現れづらくなること、また自宅で簡単にできるお灸のやり方とそのツボの位置をお話しして今回の治療を終えた。
脊柱管狭窄症
70代 男性
スポーツを始めて2年が過ぎたころから左の太ももとふくらはぎの痛みが気になりはじめた。1年前からは右側に痛みが移り、しかもいっそう症状が激しくなった。3か月前には立ち上がるときに腰部から臀部にかけて激痛が走り、ついに整形外科を受診した。医師に脊柱管狭窄症と診断されたが、今すぐに手術が必要ではないと言われた。整形外科に通い治療を受けているが、痛みをはじめとする症状の改善が見られず来院された。
初診時にはそう激しいものではないが、腰部に重い、はっきりしない痛みがあった。そのほかの痛む部位は、臀部、太ももの裏、ふくらはぎ。足の裏は少ししびれている状態であった。最も気になるところは腰部であるが、痛む部位にモーラステープやロキソニンテープを貼ると症状が緩和される。また入浴して腰から下をゆっくり温めていると痛みが楽になるとのこと。スポーツをされているだけあって、腰から足にかけての筋肉はしっかりしており、内科的にも特に目立って悪いところはない。鍼灸で腰以下の気を通す治療を行うことにした。痛みがいちじるしい時には運動はひかえていただき、回復するにしたがって徐々に運動量を増やし、筋力の低下は最小限にとどめておきたい旨をお伝えした。
鍼治療に際して、鍼をからだに入れたときに電気が走るような感覚が起こることがある。このような感覚を“ひびき”というが、この方には腰から足にかけて心地よくひびくような鍼治療を行った。はじめのうちは一週間に二度の治療を一か月。その後一週間に一度の治療を二か月間行った。治療を始めてから3か月経ったころには、違和感が全くないわけではないが、以前のようにスポーツをしても平気な状態に戻った。初診のころに感じていた重い、はっきりしない痛みもない。スポーツの後は腰や足に張りが出るが休息すれば元のように動ける。その後、ひと月に二度ほど治療を継続したが、脊柱管の狭窄があっても、すでに生活に支障のない程度まで回復しているので、いったん治療を終えて様子をみることにした。
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄による坐骨神経痛
症例)60代 男性
ひと月以上前から右の太ももが痛かったが、ある日、突然に激痛が走った。近所の整形外科で、X線およびMRI(磁気共鳴画像診断装置)による検査を受診したところ、脊柱管狭窄による坐骨神経痛と診断された。右足の太ももの表と裏が最も気になる部位であるが、腰や臀部にも押すと痛むところがある。歩いていると急に激痛が走るので、それが怖い。じっと横になって安静にしていたり、お風呂に入ると楽、とおっしゃる。この痛みと関わるような内科的な疾患はみられない。
この方の脊柱管の狭窄の状態は、それほど著しいものではなく、外科的な処置を要するものではない。たとえ脊柱管に狭窄の症状があっても、それほど重度でなければ、そのまわりをサポートする質・量ともに良好な筋肉や靭帯があればよい。腰部の筋肉をはじめとする組織が充分に機能していないときに、脊柱管の狭窄の症状が現れ、今回のように足に激痛が走ったり、しびれを生ずることになる。この方は、お灸による治療を、たいへん心地が良いとおっしゃっていた。鍼灸の治療における、お灸の配分を高めて治療を組み立てた。一週間のうちに3回の治療を行うと、前屈運動ができるまでかなりの症状改善がみられた。さらに二回の治療を行うと、右の太ももが痛かったところ、腰や臀部の押すと痛むところがすっかりおさまった。治療は2週間、5回であったが、患部の周囲の筋肉が正常に機能するようになったと判断した。脊柱管の狭窄はあっても、周りの筋肉を良い状態に保つことができれば、症状が現れづらくなること、また自宅で簡単にできるお灸のやり方とそのツボの位置をお話しして今回の治療を終えた。
脊柱管狭窄症
症例) 70代 男性
スポーツを始めて2年が過ぎたころから左の太ももとふくらはぎの痛みが気になりはじめた。1年前からは右側に痛みが移り、しかもいっそう症状が激しくなった。3か月前には立ち上がるときに腰部から臀部にかけて激痛が走り、ついに整形外科を受診した。医師に脊柱管狭窄症と診断されたが、今すぐに手術が必要ではないと言われた。整形外科に通い治療を受けているが、痛みをはじめとする症状の改善が見られず来院された。
初診時にはそう激しいものではないが、腰部に重い、はっきりしない痛みがあった。そのほかの痛む部位は、臀部、太ももの裏、ふくらはぎ。足の裏は少ししびれている状態であった。最も気になるところは腰部であるが、痛む部位にモーラステープやロキソニンテープを貼ると症状が緩和される。また入浴して腰から下をゆっくり温めていると痛みが楽になるとのこと。スポーツをされているだけあって、腰から足にかけての筋肉はしっかりしており、内科的にも特に目立って悪いところはない。鍼灸で腰以下の気を通す治療を行うことにした。痛みがいちじるしい時には運動はひかえていただき、回復するにしたがって徐々に運動量を増やし、筋力の低下は最小限にとどめておきたい旨をお伝えした。
鍼治療に際して、鍼をからだに入れたときに電気が走るような感覚が起こることがある。このような感覚を“ひびき”というが、この方には腰から足にかけて心地よくひびくような鍼治療を行った。はじめのうちは一週間に二度の治療を一か月。その後一週間に一度の治療を二か月間行った。治療を始めてから3か月経ったころには、違和感が全くないわけではないが、以前のようにスポーツをしても平気な状態に戻った。初診のころに感じていた重い、はっきりしない痛みもない。スポーツの後は腰や足に張りが出るが休息すれば元のように動ける。その後、ひと月に二度ほど治療を継続したが、脊柱管の狭窄があっても、すでに生活に支障のない程度まで回復しているので、いったん治療を終えて様子をみることにした。
[主訴] | 腰部脊柱管狭窄症による間欠性跛行、腰下肢の痛み、しびれ |
[初診] | 平成20年4月初旬 82歳 女性 |
[現病歴] | 間欠性跛行、つまり長い距離を歩くことができなくなり、整形外科を受診。腰部脊柱管狭窄による馬尾神経性の間欠跛行と診断される。しだいに、長い距離を歩くことができなくなる。同時に椅子に坐ると、圧迫されておしりも痛む。右足は全体的に強くしびれている。夜寝ていても、痛みで起きてしまうことが多くなり来院。 |
[診断] | 腎陰虚 血瘀 |
[治療方針] | ①腰を中心に、下半身の血液循環を改善する。 ② 腰部にある老化を防ぐツボを刺激して、腰の筋肉を柔軟に保ちながら免疫力を高める。 |
[経過] | 週に2回の針灸治療を4ヶ月続けていただくころから、まず痛みがうすれていく。ついで、少しづつ歩行の距離が増し、タクシーで行き返りしていたのが、最寄りの駅から10分ほどかけて歩いて来院できるようになる。しびれについては、ほとんどあきらめていたが、初めの3割ほどまで緩和された。治療開始後、半年を過ぎて、一日に1時間ほどしっかり歩くことができ、痛みは消失しており、しびれも2~3割残存している状態である。 |