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第16号 ~ 弁証論治(2007年2月)


0702今年1年間は東洋医学の基本的な考え方をシリーズでお伝えしていきます。
今回は1月号の「整体観」に続き、「弁証論治(べんしょうろんち)」についてお話します。
何かむずかしい話が始まりそうだなぁと思った方、内容はシンプルです。
最後までおつきあい下さい。

 

みなさんも背中がぞくぞくして高い熱がでたときにお医者さんにかかったことがあるでしょう。
お医者さんにいろいろな質問をされて、ときには尿や血液の検査もされます。
お医者さんはその結果を分析して、「大丈夫、ただの風邪(感冒)ですよ。お薬をだしますからしっかり飲んで下さい。すぐに治りますよ。」というようなことを言われます。
お医者さんは問診したり検査をすることで病名(ここでは感冒)を判断します。そして薬を処方するという治療をおこないます。

 

東洋医学にも治療をするまえに、患者がどのようなやまいなのか知らなくてはならないというルールがあります。
あたりまえですよね。現代医学と同様、医学と名のつく限りいいかげんなことは決して許されません。
その東洋医学的な病名を「証」といいます。この「証(しょう)」を導きだす行為そのものを「弁証(べんしょう)」といいます。
具体的に何をするのかというと、四診とよばれる4つの診察法でやまいの本質を探ります。

 

四診のひとつめを「問診(もんしん)」といいます。
文字通り、患者に問うことでやまいに対する情報を集めていきます。
しっかりとした問診をとることができなければ、正確な「証」を導きだすことがむずかしくなります。

 

ふたつめを「望診(ぼうしん)」といいます。
患者のからだの状態をよく観察することです。とくに舌の状態を観察することをとくに舌診といいます。
そのほかにも患者のしぐさやふるまい、こまかな表情を観察して診断の材料にします。

 

みっつめを「聞診(ぶんしん)」といいます。
患者の話す声の大きさ・音色をきく、からだから発するにおいを嗅ぐことで情報を集めます。

 

最後、よっつめを「切診(せっしん)」といいます。
からだに触れる、脈を取ることで情報を収集します。脈を取ることでやまいの状態を分析することをとくに脈診といいます。

 

この四診により導きだされた「証」はやまいの本質にあたるもの、とされています。
東洋医学の考え方により、やまいの位置や性質、原因などを総合的にあらわしているからです。
このような「証」から治療方針を立てることを「論治(ろんち)」といいます。
つまり患者のやまいの本質にあたる「証」を決定して、治療方針を立てるまでの過程を「弁証論治」というのです。
実際の治療は治療する者の資格にゆだねられます。
決定したある「証」に対して湯液家は漢方薬を処方し、鍼灸師は鍼や灸を、指圧・あんま師はその手技を施すにすぎません。
いろいろなルートで山頂を目指すようなものです。
次回は「治則」についてお話いたします。

 

元氣堂通信 第16号 弁証論治   コメント:0