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第25号 ~ 病機(2007年11月)


0711なぜ、ひとはやまいにたおれるのか?
前回その原因について、東洋医学的にお話しました。
ひとつは急激な、あるいは長期的な気候の変化が、二つめは精神の不調が、三つめが食事および過労と運動不足が大きく影響するというものでした。
ただし、これらの三つの要素があればすぐに発病するというわけではありません。
私たちにしっかりした体力がそなわっていれば、発病にはいたらないわけです。
インフルエンザの流行で学級閉鎖をするクラスにも元気なこどもはいますし、病院で働く方もしっかり体調をコントロールしています。
病気になる・ならないは個人の体力(免疫力ともいう)に依存するということです。

 

東洋医学では、やまいが発生して進行していく過程、あるいは治っていく過程を分析して病機(びょうき)と名づけました。
たとえば同じインフルエンザウイルスに感染した場合でも、あるひとは3日で治るのに対して、あるひとは肺炎にまで悪化してしまうことがあります。
同じ原因の病気でも、その過程はひとそれぞれちがうわけです。
それが個人差というものです。

 

では個人個人のどのような要素が病気の展開に変化を生むのでしょうか?
先人は抵抗力の強弱、からだに熱があるのか冷えているのか、内臓の状態、血液をはじめとする循環物の状態に着目しました。
そしてあるひとつの病原に侵入されたときに展開する、個人個人によるさまざまな病気の進み具合や、からだが正常な状態にもどっていくまでの過程を研究していきました。そのおかげで、今では病気の原因と体質とを見比べて、病気の進行方向・いま病気はどの段階にあるのかを認識することができるようになりました。

 

なぜひとはやまいにたおれるのか?
その答えを東洋医学的にいうのなら、気力の低下と邪気の侵入に結論づけられます。
気力とは基礎体力・免疫力などの内なる問題です。

 

邪気とは常軌を逸した気候の変化、外なる問題をいいます。
ひとは命ある限り、皮膚を境に外の世界とうまく順応して行かなければなりません。
同時に皮膚の内側、つまり体内のさまざまな臓腑・気血津液のはたらきも調節していかなければなりません。
内なる矛盾、外なる矛盾と対立しつつも調節することができなければ体調を崩してしまいます。
ただし気力さえ充実していれば、皮膚の内と外を調節する能力がしっかりと発揮され、からだを健康に保つことができます。
気力が低下すると、皮膚にそなわる免疫力も低下するので気候の変化にもついていけなくなり邪気が侵入しやすくなります。
また体内の陰陽・臓腑・気血津液のバランスも保てなくなるので自ら不健康な状態におちいります。

 

昔から漢方の世界では「正気が内にあれば、邪はおかすべからず」ということが言われています。
病気の原因はいつでもすぐとなりに待ち構えています。
発病を防ぎ、病気を悪化させないために寒い冬に備えて気力を充実させましょう。

 

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