第29号 ~ 性格!?(2008年3月)
「えっ、はりで性格が変わるの?」
と不思議に思われた方、たくさんいらっしゃることでしょう。
ところが、はりの理論の元になる東洋医学で考えると、その理屈がとおるのです。
元氣堂・治るシリーズ、今回は性格についてのお話です。
こころのとらえ方というものは、洋の東西で大きく異なります。
西洋では、人が亡くなったら、魂は天にのぼっていく、と考えます。
つまり、肉体とこころは別なもの、ということです。
一方東洋では、こころというものは肉体のはたらきのひとつ、と考えます。つまり、肉体とこころは切っても切り離せない。
こころは肉体の鏡である。腹わた(内臓)にこそ、こころが宿っている、と考えます。
このように、こころのとらえかたが、洋の東西で180度違います。
性格とは、ひとのこころを映し出す行動パターンです。
みなさんは、ご自分のことをどのような性格だと思っていらっしゃいますか?
照れ屋・恥かしがり、落ち着きがない、すぐにイライラする、心配性、取り越し苦労をする、積極的、主体性がない、思いやりがある、意思が弱い、がんこ…etc.
じつは東洋医学で考えると、上に挙げたさまざまな性格のちがいは、内臓の出来・不出来によるのです。
実例をあげてみましょう。
たとえば、「日本人は胃腸が弱い」というのは歌になったほど有名な民族的特徴です。
たしかに日本人は内臓のひとつである、胃腸が弱い傾向にあります。
でも本当に、内臓の状態が性格に影響をあたえるのでしょうか。
東洋医学では経験的に、胃腸の強い人・弱い人の性格をこんなふう分析しています。
胃腸が強い人は、とても意思が強い、ふところが深くものに動じない、愛情表現が豊かである、安定感がある、というような性格をしています。
大きな組織のリーダーや大物政治家に多いタイプです。
一方胃腸が弱い人は、主体性に欠けています。
そこで、ひとの言うことがみんな正しく聞こえてしまう、世間の常識にたよってしまう、お人よしなんだけれど気が効かない、はっきりしない、保守的…というような性格をしています。
はり治療を通して、胃腸の弱い患者さんが丈夫になるにつれて、主体性をもつようになるのを感じることがあります。
世間の常識にたよらない、ものに動じない性格に変わったのです。そのようなとき、治療の効果に胸をなでおろすとともに、「肉体に精神が宿る」という東洋哲学に感服します。
からだが変わると、こころも変わるものなのです。