第37号 ~ 口内炎(2008年11月)
食事のとき、口内炎ができているととてもわずらわしいものです。
アツアツの餃子に酢をつけて食べられなかったり、お味噌汁やしょうゆにおっかなびっくりしなければならないので、食事をするときにとても気を使わなければいけません。
このようなわずらわしさをみなさんも一度くらいは経験されたと思います。
この意外とやっかいな口内炎、治療院にいらっしゃる方の中にわりとよくみかけます。
現代の医学では、口内炎を大きくふたつのタイプに分けて考えます。
ひとつは赤く腫れあがるタイプ、もうひとつはプチっと白い潰瘍ができるタイプです。
赤く腫れあがるタイプの口内炎の多くは、やけど、あるいは入れ歯などの刺激によるもので、比較的に原因が明らかなものです。
一方プチっとできるタイプは、これといった原因がわからないまま、疲れたり、食べ過ぎたりすることでわずらいます。
こちらのタイプは癖になりやすく、くちびるや頬の内側の粘膜、舌、歯ぐきなど口の中のいたるところに発生します。
今回お話しするのは、このよく出たり引っこんだりする口内炎についてです。
さて漢方をひもとくとこの口内炎、いずれにせよ熱により発生するもののようです。
漢方では、内臓とからだの器官はつながっている、内臓のやまいはそれと関係するからだの器官に現れると考えます。
ということはこの口内炎、口や舌や歯ぐきと関係する内臓のトラブルの現れということができます。
そしていくつかの内臓で発生した熱が口の中にのぼったものということができます。
では口内炎がどのような内臓とかかわるのかご紹介していきましょう。
まず口内炎は胃腸と深くかかわります。
ふだんから、からだの中で熱に変わる食べものを口にしていると口内炎ができやすい体質になります。
熱に変わる食べものとは、甘いもの、辛いもの、味付けの濃いもの、脂っこいもの、お酒などのことです。
これらの食べ物による熱が疲れなどで口にのぼっていくと口内炎ができます。
また口内炎は、精神的ストレスともかかわります。
みなさんも何か困ったことや追いつめられたときに、カーッとのぼせたりドキドキしたことがあるかと思います。
そのような現象を、漢方では肝臓や心臓で発生した熱の現れと考えます。
このように口内炎は、肝臓や心臓とも関係しています。
ストレスにさらされやすい方の口内炎は、肝臓心臓で発生した熱が原因です。
さて針灸治療で、このような口内炎にどうアプローチしていくのか。
いくつかあるツボの中で曲池(きょくち)をご紹介します。
肘を曲げたときにできる横じわの端にあり、押すとズーンとひびくツボです。内臓でできた熱の上昇を防ぎ、気持ちをのびのびさせる、とても口内炎によく効くツボです。
つね日頃から、お灸をしていると口内炎のできやすい体質が少しづつ変わっていきます。