第44号 ~ 冷ます(2009年6月)
みなさんのまわりに、いつもいらいら、かっかしている人はいらっしゃいませんか?
漢方では、それを肝臓に有り余る熱があるとみなします。
それから、いつも「お腹へった~」が口ぐせで、さっきご飯を食べたばかりなのに「べつばら、べつばら」と言いながらついつまみ食いをしてしまう人はいらっしゃいませんか?
漢方では、それを胃に有り余る熱があるとみなします。
ここでいう熱というのは、パワーのことです。
べつの言葉で表現すると生命力です。
ほんらい人は、理不尽なことをされたり、納得できない場面に出くわしたり、侮辱を受けた場合などには怒るべき生きものです。
漢方では、そういった場面で人を怒らしめるパワーが肝臓に秘められていると考えます。
このように肝臓の熱=パワーは、自分や家族の生活を守るためには欠かすことのできない大切なものです。
ところがその熱も有り余ってしまうと、いつもいらいら、かっかしてしまいます。おのずとふだんの暮らしの中で、孤立してしまうことになります。
また食欲はとても大切な欲求です。
人のからだは、その人が食べたものによりかたちづくられます。
ほんらい食欲があることは、とてもすばらしいことです。
漢方では沸きあがる食欲の源は、胃に秘められる熱と考えます。生きていく上ではどうしても必要な胃の熱も、「過ぎたるは、なほおよばざるが如し」です。
むかしから「腹八分目に医者いらず」と言われるように、食べ過ぎの食生活をつづけていると「百害あって一利なし」、おのずと体調をくずしてしまいます。
さてこのようにからだに過剰な熱が生じてしまった場合、その熱を冷やす必要があります。
肝臓に有り余る熱が生じた場合は、太衝(たいしょう)というツボを用います。
足の甲側で、足の親ゆびと人差しゆびの間、押すとジーンとするところに取ります。
胃に有り余る熱が生じてしまった場合は、内庭(ないてい)というツボを用います。
足の甲側で、足の人差しゆびと中ゆびの間、押すとジーンとするところに取ります。
先ほどの太衝というツボのとなりにあります。
みなさんがご家庭でこのツボを刺激する場合は、つまようじを10本ほど輪ゴムで束ねたものを用意すると便利です。
トントンと少し赤くなる程度にツボを刺激してみましょう。続けるとゆっくり症状がやわらいでゆきます。