第45号 ~ 消す(2009年7月)
漢方では、からだに不要なものを消し去る治療法を用います。
それを「消法(しょうほう)」といいます。
からだに不要なものと言ってもさまざまですが、今回は梅雨の季節にちなんで、からだの不要な水分を取り除く治療法と、その有効なツボについて話をすすめていきます。
蒸し暑い日が続きます。こんな気候のときは、誰しもからだがだるく感じます。
なおのこと、からだに余分な水分をかかえている人は、重い感じをともないます。
そもそも水という物質は温度変化に敏感に反応するという性質をそなえます。
その水を余分にかかえている人が、寒がりの暑がり、というのは当然のことなのでしょう。
見ていると、からだに余分な水分をかかえている人というのは冷暖房に敏感に反応します。
少し動くとからだに熱がこもり、冷房の風に吹きつけられるとあっという間にからだが冷えていきます。
さて漢方で、からだの不要な水分を取り除く治療法とは、どのようなものなのでしょうか?
からだの水分代謝をととのえる中心となる内臓に、「脾(ひ)」と「腎(じん)」というものがあります。
脾は食べものや飲みものに含まれる水分をからだ中にめぐらせます。腎はからだをめぐり、不要となった水分を尿としてからだの外に排出させます。
このふたつの内臓がうまくはたらかなくなると、からだの中を水分が上手にめぐらなくなります。
すると、からだや頭が重くなったり、むくみが生じたり、尿が出づらくなったり、お腹が脹ってきたり、体重が増えるといった症状が現われてきます。
漢方ではこれらの症状に対して、内臓の脾と腎をととのえる治療法を行います。
そうすれば、からだの不要な水分が尿として排泄され、水はけの良いからだに変化します。
からだの不要な水分を取り除く方法とは、内臓のはたらきをととのえることにほかならないのです。
鍼灸治療においては、陰陵線(いんりょうせん)というツボが活躍します。
その位置は内くるぶしから、膝に向けて太い骨をのぼっていくと、その骨が急に角度を変えるところにぶつかります。
その部分を押してみて、にぶい痛みがあれば正しい位置にツボを取れています。
このツボは内臓の脾と腎と深くかかわり、それらの内臓のはたらきを調整します。
からだがだるい、尿が出づらい、むくみなどの症状のときに簡単なお灸をすえてみましょう。
症状が軽くなります。