過敏性腸症候群(IBS)・頭痛・生理痛・腰痛・五十肩・座骨神経痛・腱鞘炎|横浜・保土ケ谷・天王町

過敏性腸症候群・疼痛治療の元氣堂鍼灸院|横浜・保土ケ谷

第44号 ~ 冷ます(2009年6月)


0906みなさんのまわりに、いつもいらいら、かっかしている人はいらっしゃいませんか?
漢方では、それを肝臓に有り余る熱があるとみなします。
それから、いつも「お腹へった~」が口ぐせで、さっきご飯を食べたばかりなのに「べつばら、べつばら」と言いながらついつまみ食いをしてしまう人はいらっしゃいませんか?
漢方では、それを胃に有り余る熱があるとみなします。

 

ここでいう熱というのは、パワーのことです。
べつの言葉で表現すると生命力です。
ほんらい人は、理不尽なことをされたり、納得できない場面に出くわしたり、侮辱を受けた場合などには怒るべき生きものです。
漢方では、そういった場面で人を怒らしめるパワーが肝臓に秘められていると考えます。
このように肝臓の熱=パワーは、自分や家族の生活を守るためには欠かすことのできない大切なものです。
ところがその熱も有り余ってしまうと、いつもいらいら、かっかしてしまいます。おのずとふだんの暮らしの中で、孤立してしまうことになります。

 

また食欲はとても大切な欲求です。
人のからだは、その人が食べたものによりかたちづくられます。
ほんらい食欲があることは、とてもすばらしいことです。
漢方では沸きあがる食欲の源は、胃に秘められる熱と考えます。生きていく上ではどうしても必要な胃の熱も、「過ぎたるは、なほおよばざるが如し」です。
むかしから「腹八分目に医者いらず」と言われるように、食べ過ぎの食生活をつづけていると「百害あって一利なし」、おのずと体調をくずしてしまいます。

 

さてこのようにからだに過剰な熱が生じてしまった場合、その熱を冷やす必要があります。
肝臓に有り余る熱が生じた場合は、太衝(たいしょう)というツボを用います。

 

足の甲側で、足の親ゆびと人差しゆびの間、押すとジーンとするところに取ります。
胃に有り余る熱が生じてしまった場合は、内庭(ないてい)というツボを用います。
足の甲側で、足の人差しゆびと中ゆびの間、押すとジーンとするところに取ります。
先ほどの太衝というツボのとなりにあります。
みなさんがご家庭でこのツボを刺激する場合は、つまようじを10本ほど輪ゴムで束ねたものを用意すると便利です。
トントンと少し赤くなる程度にツボを刺激してみましょう。続けるとゆっくり症状がやわらいでゆきます。

 

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第43号 ~ 温める(2009年5月)


0905ラーメン、うどん、そば。
こういったものをアッツアツのうちに食べると、とてもからだが温まります。
そしてこれはみなさんもご経験でしょう。
しぜんに汗や鼻水が出てきます。
これ、簡単に言ってしまうとからだに入ってきた温かいものが、からだの中の冷えを追い払っているのです。
この場合に流れ出る汗や鼻水というのはからだにストックされていた冷たい水なのです。
それが温かいものの侵入により外に追い出されているのです。
温かいものがからだに入ると同時に、冷たい水が出ていくわけですから当然からだも温まります。
寒い冬などには知らず知らずのうちにからだは温かいものを求めています。
このようにからだを温めて冷えにともなう水分を追い払うというのが、漢方の基本的な治療法のひとつ「温める」ものなのです。
そのように考えると冬の寒い日にサラリーマンが帰りに熱燗一杯なんていうのも・・治療のうちなのでしょう。

 

さて漢方的に温める治療を考えるとき、そのポイントは大きくふたつにわかれます。
ひとつは集中してからだの皮膚、つまりからだの表面を温める治療です。
もうひとつは集中して内臓を温める治療です。
ふつう冷え性の方ですと、からだの外側と内側が両方とも冷えています。
ところが中には、からだの表面が冷えているにもかかわらず、じつは内臓が熱をもっていることがあります。
こういったケースに、やみくもにからだを温めてしまうと病状が悪化します。
したがって、漢方ではそういった状況に対応するために温めるポイントをからだの表面と内臓にわけて考えています。
この観点がないと、治療が一面的なものになり、さまざまな状況に対応できなくなります。
たとえば、状況によってはからだの外側だけを温めなければならないケースもあるわけです。

 

さて針灸治療においては、からだを温めるときによくお灸を用います。
からだの表面を温める場合と内臓を温める場合のちがいは灸の種類を変えることで対応しています。
からだの表面を温めるときにはシールではりつけることのできる簡易灸を用います。
これは市販されており、どなたでも簡単に手に入ります。
その一方で内臓から温めたいようなときには、灸頭鍼(きゅうとうしん)という灸を用います。
これは鍼灸院でなければなかなか行うことができません。
ツボにまず針を入れ、その針の頭にもぐさを載せて点火します。
するとお灸の温かさが針を通じて内臓に伝わり、からだの内側から温めてくれます。
この灸頭鍼は、もちろん内臓を温めるための灸でもあるのですが、深いところで関節が冷えて痛む方にとても効果があります。

 

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第42号 ~ 和(なご)ませる(2009年4月)


0904今月お話するのは、和法(わほう)という治療法についてです。
これはとてもユニークな治療法です。
今までのように病気の原因を追い出すという発想とはちがいます。
和法というのは、追い出しません。和ませるのです。

 

なごませるというのは間接的な治療法といえます。
具体的にどうするのかというと肝臓や胆のう、胃腸のはたらきをととのえることをいいます。
つまり内臓のはたらきをととのえ、抵抗力や免疫力を高めることで病気の原因をからだのなかで処分してしまいます。
外科手術などで、手術用具を置き忘れたことが何年もたった後にわかることがあります。このようなとき、からだはオブラートにつつむかのようにみずからの組織で手術用具を無毒化していきます。
外から入ってきたものをとくに追い出すというわけでもなく自己矛盾に慣れていくという点では、この場面にみられる生体の持つ防御システムも和法のひとつと考えられます。

 

病気は不思議なものです。
からだの表面に取りつくかと思えば、深みにまでもぐっていくこともあります。
なかには表面でもない、深みでもないそんなところにひそむこともあります。
このような中途半端なところにいすわられたら、追い出そうにもなかなか追い出せません。
追えばかくれ、追うのをあきらめるとまたでてきて悪さをする。
かくれんぼのような状態になるからです。
このようなときは、素直に追うことをあきらめます。
そして抵抗力や免疫力を高めていきます。
これが和法の発想です。

 

実際にこの治療法、かぜをひいてこじらせてしまったり、病気が長引いていく過程で用いられます。
適用する症状は、寒けと熱を交互に繰り返す、めまい、吐き気がする、のどが渇く、口がにがい、小便がすっきりでない、わき腹が張って苦しい、いつまでもつづく倦怠感などです。

 

漢方薬では小柴胡湯が基本となる方剤です。
ツボは陽陵線(ようりょうせん)を用います。
陽陵線は膝の下、外側の腓骨小頭の直下にあります。
外くるぶしから足の外のラインを膝に向かって上りぶつかるところ付近に位置します。
とくに肝臓や胆のうの熱を冷ますはたらきでからだの抵抗力や免疫力を高めます。

 

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第41号 ~ お腹を下させる(2009年3月)


0903食べたものがお腹の中を通過して、便として排出される。
このあたりまえとして考えられていることが何の支障もなくスムーズに行われている人はとても恵まれています。
便が出なくて苦しい、若いころから便秘症だ、というお悩みをおもちのかたがたくさんいらっしゃるからです。
つまり、便が適度なリズムできちんと排出できる、ということはそう当たり前のことではないのです。

 

漢方では、「気の流れ」というものをとても重視します。
一般には"新陳代謝"だとか"血液循環"という言葉におきかえるとイメージしやすくなります。
健康なひとはこの「気の流れ」というものがスムーズで滞りがありません。
この「気の流れ」の考え方、じつはふだんわたくしたちが三度口にする食べ物にもあてはまります。
ご存じのとおり、ひとのからだをつくる血や肉や骨などは食べ物から大きな栄養をうけています。
漢方ではいったんからだの中に入った食べ物のことを「食気(しょくき)」と呼び、からだをかたちづくる気の一つとみなします。
「食気」は消化吸収されていくなかで、からだに必要な栄養素をわたくしたちに与え、生命を維持してくれます。

 

そんな食べ物のすべてが、あますところなくきれいに消化されてしまえばどんなにか快適なことでしょう!
この世から便秘に苦しむ人がいなくなります。
ところが現実はそれを許しません。どんな豪華なごちそうも、糞という形でしっかりと残りかすを生じます。
そしてその残りかすがいつまでたってもからだの外に出ていかないと今度はからだの状態を悪い方へとみちびきます。
何も便秘に苦しむばかりではありません。
食欲がなくなる、食事のあとに吐き気がする、顔色がすぐれない、吹き出物がでやすい、頭痛、腰痛、生理痛などさまざまな副産物が症状として現われてきます。
まさにお腹の中に便が停滞すること、「気の流れ」が滞ることは諸悪の根源足りうるのです。

 

そのようなとき、漢方では「瀉下(しゃげ)」という目的の治療を行います。
これ、簡単にいうとお腹から便を排出させることです。
漢方ではこの方法にもとづき、いつまでたっても停滞する胃腸の滞りを便として排出させて、「気の流れ」を正常にしてからだを健康な方に向かわせます。
ただし、"瀉下"本来の意味合いとしては、胃腸の滞りをぬぐい去るものであって、何も便そのものを目標にしているわけではありません。
ツボでいうと天枢(てんすう)、大腸兪(だいちょうゆ)が使い勝手の良い、効果的なものです。
天枢はおへその横の腹筋に、大腸兪は背骨の両脇の筋肉が腰骨にぶつかるところ付近にあります。
便秘にお悩みの方は、深い呼吸をしながら、吐く息にあわせてゆっくり指圧してみましょう。

 

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第40号 ~ 吐かせる(2009年2月)


0902「自分がどのくらいの量の酒を飲むことができるのか」まだ把握できないころ、飲み過ぎによる嘔吐を何度も経験しました。
そしてそのあとはげっそり疲れたような、それでいてすっきりしたような気分で眠りについた記憶があります。
このようにひとのからだは、度を越した量の飲食物やからだに害のあるもの、苦手なものが胃の中に入ると、それを吐き出そうとする習性があります。

 

ところがかわいそうなことに、食べ過ぎ飲み過ぎのときに吐くことを許されない職業にお相撲さんがあります。
ひょろひょろの細いからだにつとまる稼業ではありません。
からだを大きくするためには食べるのも稽古のうちですから、一日に五食も六食も詰め込んで吐くことは許されません。
それでもからだをこわさないわけは、猛稽古により鍛え上げられた強靭な体力に支えられているからです。

 

さて、私たちがお相撲さんのまねをするとどうなるでしょう。
結果はふたつの方向に分かれます。
ひとつは、それをからだに吸収するパターンです。
筋肉として、あるいは脂肪として。その人なりの体質、生活スタイルや運動量によってどちらかが多く身に付きます。
もうひとつは、からだが拒否するパターンです。
内臓にもそれぞれ個体差があり、消化能力にも優劣があります。
ひとによっては消化できる質量を超えた飲食物がからだに入り込むと、内臓が消化作業を放棄してしまいます。
その現われが「吐くこと」であり下痢することなのです。
そう考えてみると、飲食物を吐くということは立派な自衛の反応でもあるようです。
自宅にずかずか入り込んでくる無法者には、退散していただかなければならない、そういう理屈です。

 

漢方では、食べ過ぎ・飲み過ぎによりお腹に停滞した飲食物を、健康を乱し病気を引き起こす有害なものとして「邪(じゃ)」とみなします。
そしてそれを追い払うような治療法を用います。
それが「吐かせる」ことです。このようなとき、漢方薬では催吐(さいと)薬というものが使用されます。
文字通り、吐くことを催させる薬のことです。
塩をフライパンで炒ってきつね色にしてお湯に溶かしたものもその一つです。
その際には気分よく「吐かせる」ことが大事です。
塩を含んだお湯を飲んで10分から20分たっても吐けないときは、羽毛や指で喉を刺激したり、さらにお湯を飲ませるのも効果的です。
なお「吐かせる」という治療法は、非常に体力を消耗させます。
決して安易に用いるべき治療法ではありません。からだが虚弱していたり、極端に体力が低下しているひとには不向きといえます。
もちろん、もともとからだに必要な飲食物を、食べ過ぎることで邪に変えてしまわないようにすることが大事なことは言うまでもありません。

 

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第39号 ~ 汗をかかせる(2009年1月)


0901新たな年を迎えました。本年も宜しくお願い申し上げます。
元氣堂通信も4年目を過ぎるといささかネタ切れの感があります。
ここで一丁気合を入れ直す意味で、今年は漢方の治療方法についてシリーズでお伝えしていきます。

 

ご愛読されている方には耳にタコでしょうが、漢方とは中国から日本に伝えられた伝統的な医学のことです。
しかし中国で行われている医学がそっくりそのまま日本で用いられることはありません。中国と日本の間には気候・風土・体質などに大きな違いがあるからです。
この違いを考えたうえ、それを埋め合わせる作業が、大変な労力と長い年月をかけて行われてきました。
その結果、日本に暮らす人々にふさわしいかたちに変換された医学を漢方といいます。

 

お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、漢方という言葉にはせまい意味とひろい意味のふたつが含まれています。
せまい意味の漢方とは、煎じ薬のことです。
一般に漢方と聞けば、このような飲み薬としての漢方薬をイメージされる方が多いと思われます。
じつはもうひとつの広い意味の方が漢方の本質を現しています。
こちらは、煎じ薬、鍼、お灸、あんま、食事、運動法などをまとめてひとくくりにして、ひとつの医学体系として言っています。
このように漢方医学というのは、本来とても広くて大きな治療の幅をもっているのです。このコラムでは常に広い意味で、漢方という言葉を用いています。
「漢方=煎じ薬」という意味では用いません。
はり・灸の治療院のコラムで、なぜ漢方の話をするのか納得していただけるかと思います。

 

さて漢方の治療法のひとつめは「汗をかかせる」です。
どうして汗をかかせるのかというと、それは身体に入ってきた悪いものを身体の外に追い払うためです。
漢方では身体に入ってきた悪いもののことを邪(じゃ)と呼びますが、この邪が身体に入りこむと皮膚の表面で免疫の力と闘いをくりひろげます。

 

その結果が、発熱であったり、頭痛であったり、咽喉や身体の節々の痛みであるのです。
私たちが熱や痛みを感じるのは身体が邪と闘っているあかしだったのです。

 

このようなときに邪を追い払う方法の一つが「汗をかかせる」ことです。
みなさんも、経験したことがありませんか?
かぜをひいて、ぞくぞくする寒気があるときに温かい格好をして汗を出すと、かぜが抜けていくことを。
この場面のように、「汗をかかせる」ことは、身体の表面に邪が入りこんだときに行われる治療方法なのです。
漢方薬では、発汗を目的とする方剤が処方されます。
同じように鍼灸院では、発汗することを目的によくお灸による治療がおこなわれます。
特に背中や首すじのツボが大切です。
あまりだらだらと、たっぷりの汗が出てしまうのはよくありません。
じわっと汗をかかせることがポイントです。

 

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第38号 ~ 乗り物酔い(2008年12月)


0812内耳(ないじ)という器官は、耳の奥深くにあります。
そして気づかぬうちにとても大切なはたらきをしてくれています。
そのはたらきは、歩いたり、走ったり、動き回ったりといろいろな行動をするときに発揮されます。
つまり、まわりの景色における自分の位置関係をはっきりと認識すること、とされています。
ひとは自分の位置関係、つまりバランス感覚を失うと、気分が悪くなるなどからだに変調をきたします。
乗り物酔いとは、乗り物に乗ることで、その揺れやまわりの景色の変化のために、内耳のバランス感覚を維持するはたらきが失われておこると考えられています。

 

酔い止めの薬を使うのは奥の手にとっておきましょう。
薬なしで酔いを止める方法の一つは慣れさせてあげることです。
たとえば遠洋漁業ではじめて船に乗る若者は、気分が悪くひと月ほど食事がのどを通らないそうです。
でも「慣れ」とは、すごいものです。
つらい時期を過ぎると、へっちゃらな顔をしてマンガを読みながらご飯を食べているそうです。
もうひとつの方法は、安静です。
バスや電車なら前の席、船なら中央の揺れの少ない所に移動して、できれば寝そべるスタイルをとると良いとされています。
また軽い症状であれば、乗り物から降りることですぐに解決します。
もちろん発症には、心理的な要因も大きくかかわります。
自分で暗示をかけてしまい、どうせまた酔ってしまうだろう、と想像することも良くないことだといわれています。

 

では漢方で、乗り物酔いしづらい体質づくりについてどのように考えるのかお話します。
一般にバランス感覚のくずれは、内耳の問題とされていますが、本当にそれだけが原因でしょうか。
そこには、内臓に由来する、乗り物酔いを起こしやすい体質というものがあります。
ふつうお腹がぺこぺこのときや、お腹がいっぱいのときに乗り物酔いしやすいといわれています。

 

また乗り物酔いすると、気分が悪い、吐くといった胃の症状があらわれています。
このようにまずは、胃のはたらきを正常に保つことがポイントになります。
また、自己暗示をかけることで乗物に酔いやすくなってしまうように、精神状態を安定させておくこと、つまりリラックスした状態でいることもポイントになります。
漢方では、ひとの精神状態を安定させる代表的な内臓を肝臓とみなしています。
つまり、肝臓のはたらきを良くしておくことも大事なポイントになるわけです。

 

ここでみなさんに乗り物酔いを防ぐ、とっておきのツボをご紹介します。
内関(ないかん)というツボです。
手のひら側、手首から肘にむかって3~4cmのぼったところにあります。
このツボには、胃をなごませ、気の流れをスムーズにするはたらきがあります。
乗り物に乗る前やふだんからお灸をすえていると、胃のはたらきを正常に保ち、緊張しづらい体質に変えてくれます。

 

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第37号 ~ 口内炎(2008年11月)


0811食事のとき、口内炎ができているととてもわずらわしいものです。
アツアツの餃子に酢をつけて食べられなかったり、お味噌汁やしょうゆにおっかなびっくりしなければならないので、食事をするときにとても気を使わなければいけません。
このようなわずらわしさをみなさんも一度くらいは経験されたと思います。
この意外とやっかいな口内炎、治療院にいらっしゃる方の中にわりとよくみかけます。

 

現代の医学では、口内炎を大きくふたつのタイプに分けて考えます。
ひとつは赤く腫れあがるタイプ、もうひとつはプチっと白い潰瘍ができるタイプです。
赤く腫れあがるタイプの口内炎の多くは、やけど、あるいは入れ歯などの刺激によるもので、比較的に原因が明らかなものです。
一方プチっとできるタイプは、これといった原因がわからないまま、疲れたり、食べ過ぎたりすることでわずらいます。
こちらのタイプは癖になりやすく、くちびるや頬の内側の粘膜、舌、歯ぐきなど口の中のいたるところに発生します。
今回お話しするのは、このよく出たり引っこんだりする口内炎についてです。

 

さて漢方をひもとくとこの口内炎、いずれにせよ熱により発生するもののようです。
漢方では、内臓とからだの器官はつながっている、内臓のやまいはそれと関係するからだの器官に現れると考えます。
ということはこの口内炎、口や舌や歯ぐきと関係する内臓のトラブルの現れということができます。
そしていくつかの内臓で発生した熱が口の中にのぼったものということができます。
では口内炎がどのような内臓とかかわるのかご紹介していきましょう。

 

まず口内炎は胃腸と深くかかわります。
ふだんから、からだの中で熱に変わる食べものを口にしていると口内炎ができやすい体質になります。
熱に変わる食べものとは、甘いもの、辛いもの、味付けの濃いもの、脂っこいもの、お酒などのことです。

 

これらの食べ物による熱が疲れなどで口にのぼっていくと口内炎ができます。
また口内炎は、精神的ストレスともかかわります。
みなさんも何か困ったことや追いつめられたときに、カーッとのぼせたりドキドキしたことがあるかと思います。
そのような現象を、漢方では肝臓や心臓で発生した熱の現れと考えます。
このように口内炎は、肝臓や心臓とも関係しています。
ストレスにさらされやすい方の口内炎は、肝臓心臓で発生した熱が原因です。

 

さて針灸治療で、このような口内炎にどうアプローチしていくのか。
いくつかあるツボの中で曲池(きょくち)をご紹介します。
肘を曲げたときにできる横じわの端にあり、押すとズーンとひびくツボです。内臓でできた熱の上昇を防ぎ、気持ちをのびのびさせる、とても口内炎によく効くツボです。
つね日頃から、お灸をしていると口内炎のできやすい体質が少しづつ変わっていきます。

 

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第36号 ~ 冷え性(2008年10月)


0810とても暑かった夏が終わり、すごしやすい季節になりました。
これからは、ゆっくりと冬に向かっていきます。
今回は、そんな寒い季節が近づくと、お悩みの方が増えてゆく「冷え」についてお話します。
漢方では、「冷え」についてどのようなアプローチをしてゆくのでしょうか。

 

治療をしていて思うのですが、いわゆる筋肉質に、本物の「冷え症」の方はほとんどいらっしゃいません。
筋肉質の方が冷えを感じるのは、精神的ストレスが強い場合や、実際に寒い環境に長い時間居たためにおこる一時的なものがほとんどです。
したがって、筋肉が比較的しっかりついている方の冷えについては、また別の機会にお話します。

 

では本物の冷えについて、まずひとつは脂肪に注目して考えてみましょう。
漢方では、脂肪を痰飲(たんいん)と呼び、余分な水分と考えます。
漢方的には、脂肪をたくさん蓄えている方々は余分な水分をかかえこんで生活している、というわけです。
この脂肪という名の余分な水分。冷たい環境にさらされると、容易に「冷え」に変化します。
水というのは、外の環境に強い影響を受ける物質といえます。
水道の蛇口をひねると、夏場は生ぬるいのに冬になるととても冷たく感じられるのはそのためです。
クーラーの効いた部屋に長時間いたり、冬場などはからだに蓄えられた水は、すぐに冷却してしまいます。その結果が冷えなのです。
もうひとつは、内臓のはたらきの衰えからくる冷えです。お年寄りや、もともと虚弱な方に多くみられ、やせて見えるが筋肉が少ないタイプです。
胃腸や腎機能の衰えから、からだを内側から温めることができないために、冷えがおこると考えます。

 

余分な水分をかかえこんでおこる冷えと、からだを温めることができないことによる冷えでは治療法が異なります。
余分な水分をかかえこんでおこる冷えに対しては、いわゆる「水はけの良いからだ」を目指して水分代謝を調える治療をおこないます。

 

からだを温めることができないことによる冷えに対しては、内臓のはたらきを鼓舞するような治療をおこないます。
このように漢方では、一口に「冷え」といっても、その原因ごとに異なった治療法でアプローチします。
このふたつの原因の異なる冷えに、共通して効果のあるツボをご紹介します。
その名を「関元(かんげん)」といいます。
おへその下、7~8センチのところにあります。
今回記しました冷えに心当たりのある方は、そこに簡単なお灸をすえてもいいでしょう。
また、関元に手のひらを載せて、その部分が温まることをイメージしながらゆっくりと腹式呼吸をおこなうととても効果があります。

 

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第35号 ~ 更年期障害(2008年9月)


0809人間のからだのはたらきには、自分の意志でどうにかなること、どうにもならないことがあります。
自分の意志でどうにかなることは、歩く、走る、話すなどの行動にみられます。
一方、自分の意志でどうにもならないことは、たとえば心臓を動かす、胃で食べ物を消化して便をつくる、運動すると汗がでるなどの日常にかくれています。
自分の意志ではどうにもならないことはホルモン系と自律神経系の二系統によりつかさどられています。
更年期障害とは、この自分の意志ではどうにもならないからだのはたらきが低下してさまざまな症状をあらわす病のことをいいます。

 

この病、年のころは50才前後、とくに女性に多くおこります。
女性は、40代の半ばを過ぎると卵巣のはたらきがおとろえ、ホルモンの分泌量が低下します。
ホルモンとはわずかな量でからだをコントロールする、不思議な物質です。
その分泌が減るとからだのバランスがくずれるのは、むしろ当然の成り行きといえます。
また人間のホルモン中枢と自律神経の中枢は間脳という同じ部屋におさまっています。
したがって性ホルモンの分泌低下は、自律神経との拮抗した関係、つまりバランスをくずし自律神経の失調を誘うことにもなります。
その結果、閉経期には疲労感、頭重、肩こり、のぼせ、冷え、不眠、不安、発汗などの自律神経の不調により生ずる症状が現れます。

 

さて漢方で更年期をどのように考えるか。
漢方では更年期を老化の入口ととらえます。
内臓でいうと腎臓のはたらきのおとろえをもって老化とします。
腎臓のことを漢方では「腎」と呼び、腎臓よりもう少し広い意味をもたせています。
腎には父母より受けついだ生命力がそなわっており、30才前後のピークをさかいに徐々に目減りしていきます。

 

その生命力が一定のレベルに達しなくなると、子どもを生むことができなくなるなど老化現症を呈します。
腎には骨、脳、歯、耳、髪、足腰などを丈夫に保つはたらきがあります。
したがって、老化とともに腎のはたらきがおとろえると、骨密度が低くなる、物忘れがはげしくなる、歯が抜ける、歯がぐらぐらする、耳が遠くなる、髪が抜けやすい、白髪になる、腰が痛む、足腰に力が入らないなどのさまざまな不都合が生じます。
たとえいかなる医術、もちろん漢方の力をもってしても人間の老化を完全にふせぐことはできません。
ただし急激な老化をふせぐ、あるいは通常よりも早くにおこる更年期症状を引き延ばすという点において、漢方はとてもすぐれた医学であるといえます。
このようなケースに鍼灸治療でよく用いられるツボが「三陰交(さんいんこう)」です。
足の内くるぶしから骨に沿って7~8cmのぼったところにあります。
とくに女性によく効くツボです。
30代後半の女性はお灸をすえてみましょう。
安定した更年期を向かえることに一役買ってくれるはずです。

 

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