過敏性腸症候群(IBS)・頭痛・生理痛・腰痛・五十肩・座骨神経痛・腱鞘炎|横浜・保土ケ谷・天王町

過敏性腸症候群・疼痛治療の元氣堂鍼灸院|横浜・保土ケ谷

第34号 ~ ぜんそく(2008年8月)


0808医学の進歩とともに、ぜんそくへの理解がすすんだ今日でも、まだたくさんの方がぜんそくの発作に悩まされています。
そのため近年、最高のくすりとして吸入ステロイド薬が登場しました。
このくすりは炎症をおこす細胞を減らしたり、気管支を拡張するなど、とにかくすこぶる効果を発揮するのです。

 

しかし問題はその副作用。
ステロイドは免疫力を低下させる、骨粗しょう症や糖尿病を誘発するなどのおそれがあるといわれています。
またからだには痰を吐き出す、という大切な防衛反応がありますが、これを抑制してしまいます。
したがって咳は止まったが、胸に痰がつまり根本的にぜんそくが改善しないなど、その使用法に注意が必要となります。
ただし長期にわたり、だらだら使用することさえしなければ、最強の抗炎症薬としてぜんそくの治療に大いに役立つことは事実といえます。

 

さて現代医学にして難病であるぜんそくは、漢方にとってもかなり手ごわい相手です。
漢方ではぜんそくの根本を、「痰飲(たんいん)」と呼んでいます。
これは水分の代謝がうまくいかずに、からだの不要な水分が濃縮されたもののことです。
しょっちゅうぜんそくをおこす人の呼吸する音から聞こえる、ヒュ-ヒュ-、ゼロゼロを鳴らしている発生源のことです。
この痰のようなものが、肺や気管支に停滞することで正常な呼吸ができなくなり、呼吸困難をおこすと考えます。

 

ではこの痰のようなもの、なぜからだに発生してしまうのか。
漢方では大きくふたつの理由にわけて考えます。
ひとつはからだの外から入ってきたものにより、痰がつくられるという考え方。
もうひとつは内臓のはたらきの低下で不要な水分が溜まり、濃縮されてつくられるという考え方です。
いずれの理由にせよ、ぜんそくは、痰が肺にまとわりつきそのはたらきを低下させた結果であるといえます。
漢方による鍼灸治療では、なぜ肺に痰がつくられてしまうのか、その原因を明らかにして治療をおこないます。

 

当然いろいろな原因で、痰がつくられぜんそくがおこります。
鍼灸治療もその原因ごとにツボを変えておこなわれます。
今回はいろいろなケースでよく使われており、知っているとたいへん便利なツボがあるのでご紹介します。
その名は「尺沢(しゃくたく)」。
ひじをかるく曲げたときにできる、ひじの内側のしわのまんなかで、親指側のくぼみにあります。
このツボは咳止めの特効穴としてとても有名です。
お灸をすえる、あるいは指圧でかるくひびく程度の強さで押してみましょう。
漢方では、肺に痰ができるそのわけを探り、痰がつくられるのを防ぎ、気道を通じやすくして抵抗力を高めるなどその治療はつねに根本的な解決をめざしています。
漢方による鍼灸治療が、体質改善を得意とするわけがここにあります。

 

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第33号 ~ むくみ(2008年7月)


0807梅雨まっさかり。
じとじと、ベタベタ、湿気に悩まされる毎日です。
このような季節になると、何となく体がむくみやすくなる人がいます。
このむくみ、一体なぜおこるのでしょうか?
わかりやすく言うと、血液に含まれる水分が血管の外に出てしまい、もどれなくなってしまうからです。

 

ふつう、血管の中と外の水分は、たがいに行きつ戻りつして適当なバランスを保っています。
ところがある理由で、血管の外の水分が血管の中に戻れなくなり、皮膚の下で水たまりをつくってしまうことがあります。
それが「むくみ」という現象です。
医学的には、浮腫あるいは水腫などといわれています。
ある理由とは、内臓・ホルモン・突発性などさまざまな原因を指します。
そのような場面で、よく処方されるのが利尿剤です。
このくすり、むくみそのものを治すことにはたしかに有効です。
しかしむくみをおこす根本を治療することなく、長い間つづけて服用することはおすすめできません。
なぜなら体に必要な水分までも、尿として出してしまうおそれがあるからです。
その結果、口渇、寝汗、やせる、不眠などさまざまな副作用がおこることが考えられます。

 

そこでおすすめなのが、手前味噌の漢方治療。
漢方はその人の体質を見きわめることから治療をはじめます。
むくみの場合、水分代謝を悪くしているのが内臓のどの部分なのか、原因を把握して根本から治療をおこないます。

 

一例を挙げてみましょう。
胃腸のはたらきの低下とともにむくみがおこるタイプは、梅雨の時期にお腹がすかない、お腹が脹る、便がいつもよりやわらかくなるなどのさまざまな症状を現します。
漢方では、胃腸が気力をつくる源と考えます。
ところが胃腸には、湿気をきらう性質があります。
したがって梅雨時や天気がすぐれないなど、湿度が上がると胃腸はうまくはたらいてくれません。
そんなときによく用いるのが「陰陵泉」というツボです。

 

足のすねの太い骨の内側を下からたどっていくと急にもりあがる骨があるので、そのすぐ手前に取ります。
このツボを押すと痛みのある人、ツボが呼んでいますよ。
「陰陵泉」は胃腸のはたらきを高め、からだの余分な水分を尿として排出させるはたらきがあります。
ぜひお灸をすえてみてください。
お灸は薬局で簡単に手に入ります。それが面倒くさいという方、親指でそのツボを2分ほど押しましょう。
あまり強く押しすぎないことがポイントです。
むくみがおこるのは、この胃腸が弱いタイプばかりではありません。じ
つにさまざまで、ひとすじなわではいきません。
しかし漢方では、むくみがなぜおこっているのか、その原因となる内臓に向けて治療がおこなわれています。
やみくもにからだの水分を排出することはありません。
それが漢方による鍼灸治療の、副作用が少ない由縁でもあります。

 

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第32号 ~ 面疔(めんちょう)(2008年6月)


0806顔の毛穴からバイ菌が入って、化膿したものを面疔といいます。
体に抵抗力のあるときは、あまり面疔になることはありません。
たとえ、顔の毛穴にバイ菌が入ったところで、元気なときにはバイ菌を殺すことができるからです。
ところが少し体力が落ちてくると、すぐに面疔ができてしまう体質の人がいます。
美食家、のぼせやすい、疲れると軟便になるタイプなどによくみられます。

 

いまのように抗生物質がなかった時代、いったん傷口が化膿すると体力のない人たちはいつまでたっても傷がふさがりませんでした。
わずかな傷がもとで、命が奪われてしまうことも、珍しいことではありませんでした。
したがって高熱を発し、ときに死にいたることもある面疔は、かなり怖れられた存在でした。

 

そんなこわ~い面疔に、ついさき頃まで鍼灸治療がよくおこなわれていました。
とくに効果を発したのが、お灸です。
なかでも「合谷(ごうこく)」というツボがよく用いられていました。
場所は手の甲、親指とひとさし指の骨をたどった交点から少し指先より、押すとかるく痛みを感じるところにあります。
江戸時代には、静岡県人の手形といわれたほど有名なツボでした。
静岡にくらす人々は、合谷に灸をすえて、面疔に対処するなどして健康管理をおこなっていたのです。

 

では、静岡にくらす人々が、このツボにお灸をすえるようになった訳は何なのか?
ぼくも不思議に思いましたが、じつを言うと「桜井戸の灸」という有名な灸の治療所があったからです。
「効きますか?」とたずねると、決してすえてくれない徳川お墨付きの名灸です。
この合谷というツボへ、なんと100壮、200壮とたくさんのお灸をすえます。
50壮くらいで、面疔のズキズキする痛みが止まってきます。
そこで灸をやめると、また痛みだすので続けてすえます。
そうすると痛みが止まって、ひとりでに口が開いて膿が排出されるということです。

 

このお灸の治療所、静岡県の草薙にありました。
当時は、「合谷の灸」をもとめて地方から、人がわんさと押し寄せていました。
多いときには、一日に500人の治療をしたそうです。
草薙は静岡市の中心部から少しはなれたところにあるので、人々が不便を感じたのでしょう。
東海道線に新たな駅がつくられることになりました。
国鉄草薙駅は灸の治療所のためにもうけられたということです。

 

時代変わって現在。
面疔はそれほどおそろしい病気ではなくなりました。
抗生物質をはじめとする、新薬の開発により、そうひどいことにはならなくなったからです。
では「合谷の灸」の使いみちはなくなったかというと、決してそうではありません。
今でもにきび、顔面神経麻痺、目の疲れなど顔のさまざまなトラブルに用いられています。
ときが移れば、病も変わり、ツボの使われ方も変わっていくもののようです。
ある漢方家のご子息。
にきびに「合谷の灸」より、クレ○ラシルを使ったとかで大目玉を喰ったとか…
時代の流れでしょうか。

 

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第31号 ~ いぼ(2008年5月)


0805鍼灸治療、とくにお灸により、簡単に「いぼ」が取りのぞかれることがあります。
ただし、すべての「いぼ」がお灸により取りのぞかれるわけではありません。
限られたある範囲の「いぼ」に対してのみ有効である、ということです。
「いぼ」にはいろいろな種類があります。
その中で、手足や顔面にできたウイルス性の「いぼ」に対して、鍼灸治療が適用します。
さて一体、どのように治療するのでしょうか。

 

その方法はいたって簡単。
じかにお灸をすえるだけなのです。
もぐさをひねり、「いぼ」の上に載せて焼ききるだけです。もぐさは「いぼ」よりも小さくひねります。
はじめは熱さを感じません。
「いぼ」には温度覚がないので、「いぼ」の下にある正常な皮膚に温かさを感じさせます。何壮かお灸をすえていくと、しだいに熱さを感じるようになっていきます。
しばらくして熱が透ったなと感じたところで止めます。
小さなものは、2、3日、大きなものは2、3週間で消失します。
なお群発する「いぼ」に対しては、そのなかで一番大きなものにお灸をすると効果的です。
大きな「いぼ」が消えていく過程で、不思議とまわりの小さな「いぼ」も消えていきます。

 

また「いぼ」には、はと麦を煎じたものがとてもよく効きます。
内服による治療法です。市販のはと麦茶でもかまいませんが、これらには通常はと麦の殻がついています。
できましたら治療には、漢方薬局で購入できる殻をむいたもの(苡仁・よくいにん)を利用しましょう。
つくりかたは、いたってシンプル。
大さじ2杯のはと麦に(15g)、3カップの水を入れ、水の量が半分になるまで煎じるだけ。
あとは、汁をこして空腹時に温めて2~3回にわけて服用します。
お灸をすえづらい顔面にできた「いぼ」に対して、このはと麦の煎じ汁が効果的です。

 

最後に余談をひとつ。東京の西新井大師に塩地蔵なる、お地蔵さんがあります。
こちらのお地蔵さん、いつも塩の山に埋もれていてなかなかお顔を拝見することができません。

 

その理由は不思議なご利益にありました。
じつは江戸時代から「いぼ」に悩む人たちが、この塩をいただいて自分の「いぼ」につけると効果があると信じられてきたのです。
顔に「いぼ」のある人は、お地蔵さんの顔についている塩をちょうだいしてつけたり、またはお湯に溶かして飲んだりしました。
塩の山に埋もれているお地蔵さんから、自分に「いぼ」のある場所の塩をいただいて、こする(治療する)わけです。
さて、ここに重大な約束事がありました。
もし効果があったなら、塩を倍返しするという習わしです。
何とたくさんの人たちが、お地蔵さんに救われたことでしょう。
お地蔵さんがみえなくなるほど高くつまれた塩は、「いぼ」に悩まされた人たちの厚い信仰心の結晶だったのです。
「信じるものは救われる!」古の医者の嘆きが聞こえてきそうです。

 

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第30号 ~ 花粉症(2008年4月)


0804今月は、みなさんお悩みの花粉症についての話です。
この花粉症という名称は、現代医学でいうアレルギーの視点からつけられたものです。
ですから漢方の古い文献をひも解いても、このような名前は見当たりません。
ところが、その症状となると話は別。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、目の充血、のどの違和感、耳の閉塞感など、花粉症でよくみられる症状に対しては、その治療法が過去にさかのぼってたくさん記載されています。
漢方的な治療を行う場合、そのような先人の経験はとても参考になります。

 

それはさておき花粉症、いったいからだの中で何がおこっているのでしょうか。
現代医学的に理屈をかいつまんでお話しますと…。
まず最終的に花粉症に行きつくまでには、大きく記憶期と反応期にわけて考えます。

 

記憶期には、ある日大量に吸い込んだ花粉に対して、からだの中で免疫反応がおこります。
免疫とは何かといいますと、今度そいつら(花粉)が来たら、やっつけるために抗体というものをつくり、記憶することです。
ちなみにこの時点では、まだくしゃみ・鼻水などの症状は現れていません。
しかしそれからしばらくして、人体と花粉とのバトルが始まります。
以前に大量に吸い込んで、からだの中に大量の抗体がつくられた、それとおんなじ花粉を吸い込んでしまったとき、反応期はやってきます。
目や鼻から侵入した花粉は、その粘膜内であらかじめつくられて待ちかまえていた抗体と反応します。
そうすると、ヒスタミンという物質が神経や血管を刺激します。
その結果が止まらない鼻水であり、目のかゆみとなるわけです。
たしかに免疫の力は、からだになくてはならないものです。
しかしそのはたらきも度を越してしまうと、害になるのです。免疫も「過ぎたるは猶及ばざるが如し」のようです。
このように過敏に反応してしまうからだを、元の状態に近づけることを得意とするのが漢方治療です。

 

さて花粉症も漢方の目で見ると、じつに様々です。
漢方では特にどんなときに症状が悪化するのか詳しくたずねます。
冷えによるものなのか、熱さによるものなのか、疲れによるものなのか、水分代謝が悪いときおこるのか、その原因を見つめます。
そしてそれにふさわしい漢方薬、ツボ刺激などで治療をおこないます。

 

ほんの一例を申し上げましょう。
朝起きてから、くしゃみ・鼻水がひっきりなし、外出して冷たい風に当たるととたんにくしゃみ・鼻水が出て、目がかゆくなり、時々寒気がするようなタイプ。
そういった方には、「合谷(ごうこく)」というツボがとてもよく効きます。
場所は手の親指と人差し指の間、押すとツーンと響くところにあります。春の間だけでもお灸をすえてみましょう。
免疫という、とても繊細でしかも重要なからだの機能をゆっくりと適度に調えてくれることでしょう。

 

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第29号 ~ 性格!?(2008年3月)


0803「えっ、はりで性格が変わるの?」
と不思議に思われた方、たくさんいらっしゃることでしょう。
ところが、はりの理論の元になる東洋医学で考えると、その理屈がとおるのです。
元氣堂・治るシリーズ、今回は性格についてのお話です。

 

こころのとらえ方というものは、洋の東西で大きく異なります。
西洋では、人が亡くなったら、魂は天にのぼっていく、と考えます。
つまり、肉体とこころは別なもの、ということです。
一方東洋では、こころというものは肉体のはたらきのひとつ、と考えます。つまり、肉体とこころは切っても切り離せない。
こころは肉体の鏡である。腹わた(内臓)にこそ、こころが宿っている、と考えます。
このように、こころのとらえかたが、洋の東西で180度違います。

 

性格とは、ひとのこころを映し出す行動パターンです。
みなさんは、ご自分のことをどのような性格だと思っていらっしゃいますか?
照れ屋・恥かしがり、落ち着きがない、すぐにイライラする、心配性、取り越し苦労をする、積極的、主体性がない、思いやりがある、意思が弱い、がんこ…etc.

 

じつは東洋医学で考えると、上に挙げたさまざまな性格のちがいは、内臓の出来・不出来によるのです。
実例をあげてみましょう。
たとえば、「日本人は胃腸が弱い」というのは歌になったほど有名な民族的特徴です。
たしかに日本人は内臓のひとつである、胃腸が弱い傾向にあります。
でも本当に、内臓の状態が性格に影響をあたえるのでしょうか。
東洋医学では経験的に、胃腸の強い人・弱い人の性格をこんなふう分析しています。

 

胃腸が強い人は、とても意思が強い、ふところが深くものに動じない、愛情表現が豊かである、安定感がある、というような性格をしています。
大きな組織のリーダーや大物政治家に多いタイプです。

 

一方胃腸が弱い人は、主体性に欠けています。
そこで、ひとの言うことがみんな正しく聞こえてしまう、世間の常識にたよってしまう、お人よしなんだけれど気が効かない、はっきりしない、保守的…というような性格をしています。
はり治療を通して、胃腸の弱い患者さんが丈夫になるにつれて、主体性をもつようになるのを感じることがあります。
世間の常識にたよらない、ものに動じない性格に変わったのです。そのようなとき、治療の効果に胸をなでおろすとともに、「肉体に精神が宿る」という東洋哲学に感服します。
からだが変わると、こころも変わるものなのです。

 

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第28号 ~ おねしょ(2008年2月)


0802こどもが夜寝ている間に無意識に小便をもらしてしまう「夜尿症(おねしょ)」、だれしも一度ならず経験しているかと思います。
ふつう4、5才になって、昼間はひとりトイレで用を足せるのに、夜になるとお漏らししてしまうような場合を夜尿症といいます。

 

さて、生命活動のほとんどすべてについて言えることですが、尿をだすという行為もかなり複雑な過程をへています。
私たちは神経の伝達がうまくいっており、それに反応する膀胱や尿道の筋肉が正常にはたらいてこそ、はじめて尿をだすことができます。
ところが乳離れして間もないこどもの神経の連絡は、ふつうあまりうまくいきません。
また夜、こどもたちの眠りはとても深いものです。
とくに真夜中になると、中枢神経の連絡が十分に伝わりません。
それがこどもたちにおねしょの多い原因ではないかと考えられています。
さらに悪いことに、こどもの世界では「おねしょ」はあきらかに犯罪です。
くりかえされるおねしょに対しては、保護者の堪忍袋の緒も切れようというものです。
その結果おねしょの常習犯は、夜をむかえるのがだんだん恐ろしくなってきます。
朝になって大人たちにしかられている姿を想像するだけで、身震いがしてきます。
このような心理的なプレッシャーも神経の伝達に悪い影響をあたえているといえます。

 

では鍼灸治療のおねしょに対するアプローチ法をご紹介しましょう。
治療にさしあたり、まずこどもの顔色をよく見ます。
そして疲れやすいかたずね、年齢にふさわしい成長をしているか見ていきます。
また腰が冷えているか、尿の量などもくわしく聞きます。
漢方ではおねしょを大きくふたつのタイプに分けてかんがえます。

 

ひとつめは小柄な体力が十分でないタイプ。
ふたつめは神経質なタイプ。
もちろん混合型の小柄で神経質なタイプもあります。 それぞれに対して、体質に合わせた治療をおこないます。

 

道具は細い針やもぐさを用います。
ほとんどの場合、針は刺入しません。
こどもにはむしろ少ない刺激のほうが効果的だからです。
こども用に刺激を少なめにしてつくった小児鍼や、ときに歯ブラシなどで皮膚をこすって治療します。
皮膚の色がほのかに赤くなるのを目安にします。
お灸もこどもに対しては熱い・やけどするような刺激の強い治療はしません。
熱すぎないお灸からスタートして、慣れていくにしたがって徐々に刺激量を増やしていきます。
とくに針灸治療がよく効くおねしょは、一週間に1、2回程度するものであったり、ある程度おねしょのない日が続いたあとにお漏らしするタイプのものです。
おねしょの治療で大事なことは、まわりの環境です。
こどもがおねしょをしたからといって、ため息をついたり、強く叱らないことが大切です。
あせらず気長にかまえて下さい。
針灸治療はきっとよいお手伝いができることでしょう。

 

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第27号 ~ さかご(2008年1月)


0801鍼灸治療がとてもよく効くものに「逆子(さかご)」があります。
さかごとはお母さんのお腹の中で、赤ちゃんの頭が上になり、足やおしりが下になっている状態をいいます。
さかごのまま出産を向かえると、赤ちゃんの足やおしりが出たあとに頭がでることになります。
赤ちゃんのからだで、いちばん大きいのは頭です。
さかごでは、赤ちゃんの大きな頭とお母さんの骨盤のあいだにへその緒が圧迫されてしまい、仮死状態で生まれてくることもあります。
そういったことも、ひとむかし前ではそんなに珍しくはなかったようです。

 

ふつう妊娠39週目を過ぎると、ほとんどの赤ちゃんは逆立ちしたスタイルで

出産の準備をします。
しかし中には、予定日が近づいてもさかごのまま出産を迎えなければならないケースもあります。
このようなとき、医師との話し合いのすえ、帝王切開か自然分娩かを決めていかなければなりません。
出産のよろこびを味わえること、出産後の母体の回復が早いなどの事情をかんがえると、多くの方が自然分娩を望まれているようです。

 

そこで、さかごでお悩みの方にご紹介したいのが針灸による治療です。
ツボを刺激してお母さんのお腹の中の赤ちゃんを逆立ちさせてしまおう、というものです。
さかごと知りつつ、まあそのうち治るだろうとのんびりしていると、赤ちゃんもだんだん大きくなり、だいたいの位置も決まってしまいます。
さかご治療をはじめるのにもタイミングがあります。
妊娠28週目くらいからがひとつの目安となります。
さかご治療によく使われるツボがふたつあります。
ひとつは至陰(しいん)、足の小指の爪先にあります。
もうひとつは三陰交(さんいんこう)、足の内くるぶしから6cmほど上の骨際にあります。
母体の状態をよく診察したうえで、これらのツボを中心に治療をおこないます。
基本的には妊婦の母体に、強い刺激を加えることはありません。
熱過ぎない、直接肌を焦がさないようなお灸が治療の主役となります。
数回の治療と、指導いたします自宅でのお灸療法でさかごを改善していきます。

 

とくに初産の妊婦は、気持ちがとても過敏な状態です。
お腹の大きなときに、はりやお灸をするなんてとんでもないという方もいらっしゃることでしょう。
もちろん私も、母体に余計な刺激をくわえるのは良いことではないと考えています。
しかしいつまでたっても逆立ちしてくれない赤ちゃんにひやひやしているお母さんのお腹の中はとても緊張しています。
漢方でいう、「気の流れが悪い」状態となっています。
元氣堂治療院では、ツボにわずかな刺激をくわえることで気の流れをととのえます。
するとお腹の緊張はゆるみ、赤ちゃんがスムーズに生まれてくる体勢をとれるようになります。
あくまでも自然な分娩にこだわる方にはぜひ試していただきたい治療法です。

 

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第26号 ~ 養生(2007年12月)


0712一年間シリーズでお伝えしてきました東洋医学の基礎講座も今回でひと段落つきます。
最終回は養生(ようじょう)についてお話していきます。
前回までのお話は治療学についてのものでした。
いわば病気になってからの対処法です。
今回は養生、つまりどのようにしたら病気にならないかについてお話していきます。

 

じつは養生法には大きくふたつの意味が含まれています。
ひとつは病気にならない方法。
もうひとつは病気がそれ以上ひどくならない方法です。
ここでいう養生とは、東洋医学における予防医学の分野だと理解して下さい。
「やまいを未然に防ぐ」という考え方は、東洋医学において一貫して重視されてきた独特なものです。
江戸時代には貝原益軒の「養生訓」が出版されるなど世間にも養生の考え方は浸透していました。
ところが、そんな養生の基本となる東洋医学の考え方が一気にすたれてしまう事件がおこりました。
それが明治維新後の西南戦争です。
鉄砲による傷口に対して東洋医学は実に無力でした。
そしてその後流行したコレラに対してもほとんどなす術をもちませんでした。
コレラに対しては、西洋医学による石炭酸の威力に世間は圧倒されてしまいます。細菌の存在を知らない東洋医学はまったく野蛮な医学になり下がりました。
このような末に、欧米の医学が主流をしめるようになると東洋医学は衰退して、しだいに養生の考え方も忘れさられていきました。

 

しかしそれから一世紀あまりを経て、東洋医学はまた徐々にその存在感を示すようになります。
現代の科学的に開発された新薬にも限界がきているからです。
たとえば抗生物質を例に考えてみましょう。
開発をくりかえす新薬に対して、あざ笑うかのようにそれに耐性をもつ細菌が次から次へ発生していきます。

 

このような現象の裏にはすぐに医療機関に依存してしまう、何かあるとすぐに薬や注射に頼るという世相が強く影響しています。
そこで養生の考え方がふたたび生きてくるのです。
つまり自分のからだは自分で守る、免疫の力を上げる、という発想です。
最新の科学に頼り、細菌の進化に立ち向かうよりも、自身を病気になりづらいからだ、病気の悪化しにくいからだにしておくことの方がやさしいことなのです。
本当にからだを大切に思うのであれば、優れた薬、最新の医療設備に身をまかせるのは最後の手段にとっておくべきなのです。

 

最後に東洋医学的な養生法を三つお伝えします。
いつも思うことなのですが、このような話はなかなか実行できるものではありません。
すぐに挫折することもあります。
でも何かを成し遂げるということはそういう過程を何度も乗りこえることなのだと思います。
まず手始めに以下を意識して生活してみて下さい。

 

1. 精神:足るを知る
2. 体力:太ももを鍛える
3. 食事:腹八分

 

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第25号 ~ 病機(2007年11月)


0711なぜ、ひとはやまいにたおれるのか?
前回その原因について、東洋医学的にお話しました。
ひとつは急激な、あるいは長期的な気候の変化が、二つめは精神の不調が、三つめが食事および過労と運動不足が大きく影響するというものでした。
ただし、これらの三つの要素があればすぐに発病するというわけではありません。
私たちにしっかりした体力がそなわっていれば、発病にはいたらないわけです。
インフルエンザの流行で学級閉鎖をするクラスにも元気なこどもはいますし、病院で働く方もしっかり体調をコントロールしています。
病気になる・ならないは個人の体力(免疫力ともいう)に依存するということです。

 

東洋医学では、やまいが発生して進行していく過程、あるいは治っていく過程を分析して病機(びょうき)と名づけました。
たとえば同じインフルエンザウイルスに感染した場合でも、あるひとは3日で治るのに対して、あるひとは肺炎にまで悪化してしまうことがあります。
同じ原因の病気でも、その過程はひとそれぞれちがうわけです。
それが個人差というものです。

 

では個人個人のどのような要素が病気の展開に変化を生むのでしょうか?
先人は抵抗力の強弱、からだに熱があるのか冷えているのか、内臓の状態、血液をはじめとする循環物の状態に着目しました。
そしてあるひとつの病原に侵入されたときに展開する、個人個人によるさまざまな病気の進み具合や、からだが正常な状態にもどっていくまでの過程を研究していきました。そのおかげで、今では病気の原因と体質とを見比べて、病気の進行方向・いま病気はどの段階にあるのかを認識することができるようになりました。

 

なぜひとはやまいにたおれるのか?
その答えを東洋医学的にいうのなら、気力の低下と邪気の侵入に結論づけられます。
気力とは基礎体力・免疫力などの内なる問題です。

 

邪気とは常軌を逸した気候の変化、外なる問題をいいます。
ひとは命ある限り、皮膚を境に外の世界とうまく順応して行かなければなりません。
同時に皮膚の内側、つまり体内のさまざまな臓腑・気血津液のはたらきも調節していかなければなりません。
内なる矛盾、外なる矛盾と対立しつつも調節することができなければ体調を崩してしまいます。
ただし気力さえ充実していれば、皮膚の内と外を調節する能力がしっかりと発揮され、からだを健康に保つことができます。
気力が低下すると、皮膚にそなわる免疫力も低下するので気候の変化にもついていけなくなり邪気が侵入しやすくなります。
また体内の陰陽・臓腑・気血津液のバランスも保てなくなるので自ら不健康な状態におちいります。

 

昔から漢方の世界では「正気が内にあれば、邪はおかすべからず」ということが言われています。
病気の原因はいつでもすぐとなりに待ち構えています。
発病を防ぎ、病気を悪化させないために寒い冬に備えて気力を充実させましょう。

 

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