過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群 Irritable Bowel Syndrome(IBS)
過敏性腸症候群(IBS)は、腸が正常にはたらかない病的な状態のことをいいます。
下痢や便秘を主な症状として、腹痛、胸やけ、おなら、腹部膨満感、便失禁、不安感などの不快な症状をともないます。
検査をしても腸に明らかな原因(腫瘍、潰瘍、炎症性腸疾患など)はみつかりません。
消化器外来の約半数を示すほど、たくさんの人を悩ましています。患者数は国内で推定1200万人とされています。
原因
精神的なストレス、食生活の偏り、持って生まれた胃腸のはたらきの弱さなどを原因とします。疲労や緊張、飲酒や睡眠不足などにより症状が悪化します。
診断基準(ROMEⅢ)
過去3カ月間、月に3日以上にわたり、腹部不快感あるいは腹痛が繰り返し起こり、以下の3項目のうち、2つ以上を満たすもの。
①便を出すと楽になる。
②便の回数に変化がみられる。
③便のかたちに変化がみられる。
現代医学的にみる過敏性腸症候群(IBS)のタイプ
①下痢タイプ
②便秘タイプ
③下痢と便秘がくり返されるタイプ
④分類不能タイプ
医院で処方される治療薬の種類
①合成高分子化合物
小腸や大腸で高い吸水性をもちます。腸内で水分を吸収して膨張し、便の硬さを調整します。下痢にも便秘にも用いられます。
②セロトニン3受容体拮抗薬
腸の筋肉運動を活発にするセロトニンのはたらきを抑えます。腸の異常な運動を改善して痛みを感じにくい状態にします。男性にのみ有効とされ、女性には用いられません。
③胃腸機能調整薬
胃腸の不規則な運動を、規則的なものに改善します。
④乳酸菌製剤
腸内環境をととのえる乳酸菌を増やします。
⑤抗コリン薬
平滑筋の収縮を抑えることで、お腹の痛みを抑制します。
病院での治療方針
病院で処方される治療薬から以下の三つの治療方針がみえてきます。
①腸管の蠕動運動を正常にする。
②腸管内の水分のバランスを正常にする。
③腸内の環境をよくするために乳酸菌を増やす。